⼀⽔四⾒ 〜宝瑞院⾼野⼭研修〜

 10⽉21⽇(⾦)〜23⽇(⽇)に私が宝瑞院に参加して初めての参拝ツアーを開催しました。元本⼭布教師・⾜⽴信⾏阿闍梨にご案内をお願いし、皆様には「究極の⾼野⼭」をご堪能頂きました。

⾼野⼭には様々な顔があります。信仰の⼭、修⾏の⼭、観光の⼭、⽂化・歴史・芸術の⼭、さらには曼荼羅世界を弘法⼤師が3次元化したメタバース空間という意味での経典の⼭でもあります。私にとってはこの「経典の⼭」としての「顔」が、この⼭の⼀番の魅⼒です。

弘法⼤師は唐の都・⻑安(現在の⻄安)の⻘⿓寺で密教を学びます。私も何回か⻘⿓寺を訪ねました。⻘⿓寺は都市型の修⾏道場です。⻘⿓寺と⾦剛峯寺(⾼野⼭)を⽐べると「⽇本」が⾒える気がします。

また深遠な教えを⼭に封じ込め仕組み化・システム化し、仏法の承継を僧侶や⼈間だけに委ねなかった点は、企業経営にも応⽤できます。ブロックチェーンやDAOの発想に近いのかもしれません。⾼野⼭には⽇蓮、法然、親鸞などの鎌倉仏教の⼤乗の祖師達も眠ります。⾦剛峯寺(⾼野⼭)の思想が、メタバース寺院のヒントにもなりそうです。

12⽉の16⽇(⾦)〜18⽇(⽇)、住職をはじめメタバース宝瑞院の幹部メンバーと、極寒の⾼野⼭の研修参拝を企画しました。今回は紙⾯の都合もあり、テーマを2つにしぼり、⾼野⼭参拝のご報告をいたします。

【霊能者と仏教の関係】

今回、強い霊能⼒を持つ⽅が2名参加されました。直接⼤⽇如来、不動明王、弘法⼤師の霊と交信されて、参考になるお話を伺うことができました。私には霊能⼒はありませんが、否定はしません。⾼野⼭にも霊能⼒に関する逸話が多く伝わります。

ただいくら霊能⼒をお持ちでも、仏教は基礎から勉強しないと分かりません。僧侶と霊能者の両⼑遣いという⽅もいらっしゃいますが、基本的に両者は異なる仕事です。

私のお師僧は⼤栗道榮という⽅で、約8年間教えを受けました。遷化後に⼀度、霊能者にお願いしてお話を伺いました。霊能者がいなければ、私は死後のお師僧から教えを受けることはできません。

ただたとえば、この霊能者がお師僧から仏教を学べるのかといえば、それも違います。⽣前、8年間教えを受けても理解し尽くせない仏教を、霊や魂に接続できるだけでは、とても理解できないと思います。

霊能⼒は仏道修⾏に有利かもしれません。ただ霊能者で「仏教を分かっている」と思う⽅には、私は出会ったことがありません。霊能⼒の⾼い僧侶の書籍を読んでも、素晴らしいとは思うのですが、仏教としてはピンと来ません。だからこそ今回のように霊能者が⾼野⼭で学ばれること、私は意義深く、またとても嬉しく感じるのです。

密教ではこれを「衆⽣の⾃秘」と説明します。本来、仏教に秘密はありません。ただ⾃分の濁った⽬や先⼊観、それに判断⼒の未熟さゆえ、正しい理解には⾄らないのです。霊能⼒は仏教理解を助けることもありますが、濁りや思い込みの源になるケースもあります。⼤⽇如来は24時間365⽇、その⼈に合わせて説法を繰り返しておられます。実は誰もがこの教えを受け取ることが可能なのです。この受信装置の性能を上げることが仏道修⾏とも⾔えるのかもしれません。また神社仏閣は、⼤⽇如来の説法が聞き取りやすい場所です。この点に関して、私は神仏の区別はしません。

【ミッションと使命の相違】

今回の⾼野⼭でもう⼀つ感じたのは、⾼野⼭は「菩提⼼の⼭」、⾔い換えると「使命の⼭」という点です。「使命」は「ミッション」と翻訳され、経営学では「会社経営はミッションが重要」とも⾔われます。現時点での私のミッションは「神仏(量⼦論で説く「意識・情報領域」)と⼈間および⼈間社会とを、あらゆる⼿段を活⽤しながら、個々⼈及びそれぞれの社会の必要に応じて、最適な⽅法でつなぐことで、全ての⼈の利益(りやく)に貢献します」です。

伝統仏教も先端科学も、「お⾦儲け」という⼊⼝も、私には「あらゆる⼿段」の⼀つです。神仏の違いにはこだわりがなく、他宗教もスピリチュアルも、TimeWaverなど量⼦デバイスも、私には仏教なのです。

仏様と向き合う際には、私は以下の3点を重要と考えます。

ⅰ)神仏と対話をしているか?

ⅱ)そこから気付きが得られたか?

 ⅲ)結果として⾃分の⾏動を変えたか?

その中で重要なのはⅲ)、実際の⾏動が変わらない読経・勤⾏は、単なる作業です。ⅰ)に失敗しても、毎⽇の勤⾏で何かに気づき、僅かでも改善できれば、半年程度で⼈⽣は⼀変します。読経・勤⾏は⼈⽣を変える真剣勝負なのです。

 今回の⾼野⼭では、「ミッション」と「使命」は同じなのか?を考えました。正解はありませんが、以下は私の考えです。ミッションは命の下の概念、命がミッションを使うイメージです。

ところが使命は「命を使う」と書きます。使命が命を使います。「命を使う」と⾔うと神⾵特攻隊などを連想し、おどろおどろしいイメージにもなります。ただ菩提⼼は時に命を超える働き、単なるミッションでは、命の躍動は⼩さく、輝きも限定されます。そうなると⾼野⼭の霊⼒も「猫に⼩判」なのです。ちなみに⾼野⼭は弘法⼤師を導いた⽝を尊重するので、猫を飼うお寺は少ないと⾔われます。

新型コロナの影響で、仏教寺院の経営はますます厳しさを増していますが、⾼野⼭には観光客が溢れておりました。新型コロナをチャンスに変えた寺院・施設も多かったようです。以前と勢⼒図が変わりました。

⼀⽅で伝統に胡座をかき、衰退する兆候もあちこちで⾒えました。先⼈の残したこの遺産を次世代に継承しよう、当事者がそんな使命観を持たない限り、本⼭の継承すら困難な時代を迎えつつあります。

宗教の退潮は先進国共通の現象です。先進国には命を賭けるに値する課題が消失、命を超える宗教のような概念はニーズがありません。新型コロナも⼀昔前なら宗教の出番でした。

使命なき時代は幸せです。ただいつまでも、平和な時代が続く訳ではありません。たとえミッションのレベルでも、無理のない範囲であっても、平和な今も社会にイノベーションは必要です。

新型コロナを通じての⼤⽇如来の説法を、私は⾼野⼭でそのように受け⽌めました。使命が必要とされる時代に備え、私も⾼野⼭を守り継いでいきたいと感じました。メタバース寺院においてもいずれブロックチェーンを実装し、この決意を現実化していければ嬉しいです。

◎本レポートは、リアル曼荼羅プロジェクト・メルマガ31【2022年8⽉・9⽉合併号】の文章を大原浩の責任で抜粋・編集したものです。

★沼⽥榮昭(リアル曼荼羅プロジェクト主宰)、 人間経済科学研究所フェロー

楽天・サイバーエージェントなど有⼒企業の上場を ⼿掛け、⼤和証券株式会社公開引受部勤務時代から 通算して、70社強の株式公開を実現、「伝説の株式 公開請負⼈(⽇経新聞記事より)」と⾔われる。上場会社⽣涯100社構想に向けて、スタートアップ企業の発掘・育成・投資に現在も邁進。

2000年〜2021 年まで21年間、サイバーエージェントの社外役員を務める。⽇本証券アナリスト協会検定会員(証券アナリスト)。

⾼野⼭真⾔宗⼤⽇寺(代々⽊⼋幡)で得度、紫雲⼭宝瑞院(仏教寺院)副住職(就任予定)、復旦⼤学(中国・上海)⽇本研究センター客員研究員、⼤阪⾳楽⼤学客員教授、中華⼈⺠共和国主治中医師(内科)。真⾔密教、統合占星術・星平会海、量⼦⼒学波動デバイスTime Waver等を取り⼊れた「株式公開レベル」の経営⽀援を実施。

 

★ファイブアイズ・ネットワークス株式会社

 〒150-0044 東京都渋⾕区円⼭町5-4

 フィールA渋⾕1402号 isao.numata@5is.co.jp

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