【リアル曼荼羅】 胎蔵(界)曼荼羅⼊⾨

【リアル曼荼羅】 胎蔵(界)曼荼羅⼊⾨

私の密教講座は「潜⿓講」としてスタート、2020 年「リアル曼荼羅プロジェクト」と改名しました。

私は今回、まだまだ理解が浅い「情報領域」を、「胎蔵(界)曼荼羅」と合わせてご説明します。結果として「リアル曼荼羅」の説明にもなります。

胎蔵(界)曼荼羅は現在、⽇本だけに伝承されております。インド、中国では、もう⼀つの曼荼羅である、⾦剛界曼荼羅系統の密教が興隆、その結果、胎蔵(界)曼荼羅系の密教は、曼荼羅と共に失伝しました。

2つの曼荼羅は⼀時、おそらくは中国で出会い、今⽇は⽇本でのみ併存しております。

この胎蔵(界)曼荼羅には、情報領域、エネルギー領域、物質領域といった世界観が、正確に盛り込まれております。シルクロードを伝わった曼荼羅が、実は現代の量⼦物理学の世界観を表現しているのです。

ここからは雑談ですが、胎蔵(界)曼荼羅は、ホロスコープ(星図)でもあります。中央の中台⼋葉院から、⼤⽇如来を除いた四如来(宝幢如来、開敷華王如来、無量寿如来、天⿎雷⾳如来)と 四菩薩(普賢菩薩、⽂殊菩薩、観⾃在菩薩、弥 勒菩薩)が、星座(位置)と惑星(機能)を表します。

中国系の占星術では、星座は⼗⼆⽀、惑星は⼗⼲と⾒て良いと思います。

真⾔密教では、仏は⼈であり、また同時に星でもあります。胎蔵(界)曼荼羅の中で、占星術はシームレスに繋がります。真⾔密教と占星術の原理は共通部分が多々⾒られます。

宗教も占星学も、特定の問題解決に特化して、 ⽅法論の固定化・細分化が進みました。その分、新しい 現代的な課題への対応は難しく、結果として⽅法論の墨守に終始します。バベルの塔のスピリチュアル版です。

【胎蔵(界)曼荼羅と波動】
話を進めます。中台⼋葉院は「情報領域」を表します。外側を囲む最外院が「物質領 1 / 6 域」、中台⼋葉院と最外院を除く部分が「エネルギー領域」です。胎蔵(界)曼荼羅は 頂上から⼭を⾒下ろす構成です。⼤⽇如来という根源的な波動が「役割分担」を繰り返 し、頂上から個々⼈にまで降りていくプロセスを表現します。私達は⼤⽇如来の⼀部で あり化⾝でもあります。その意味で、即⾝成仏のメカニズムの⼀端を表現します。因み に⾼野⼭(⾼野⼭真⾔宗の総本⼭)は、中台⼋葉院を模した⼭です。

【⽅法論と現世利益】

密教の特⾊を2つご紹介します。修⾏⾯では中台⼋葉院(情報領域)に直接アプローチする⽅法論を持ちます。中台⼋葉院は⾔葉は異なるものの、他の仏教でも語られてきました。ただ、ここに⼊る⽅法論がありませんでした。この問題を解決したのが密教です。

「両部曼荼羅&四度加⾏」がその⽅法論ですが、この部分は伝授によってのみ伝えられます。鎌倉仏教(禅宗・浄⼟宗・浄⼟真宗・⽇蓮宗等)はこの秘儀を、それぞれ独⾃の⽅法論で乗り越えます。⽅法論に特化した新しいスタイルの仏教として、鎌倉仏教 は⽇本で独⾃の発展を遂げます。

もう1つ、教義⾯の特⾊は「⽅便を究竟と為す(⼤⽇経住⼼品)」です。「物質領域 (現実)での具体的な活動が⼀番⼤切だ」という教えです。

物質領域に相当する「最外院」には、ヒンドゥー教の神々やら魔物やら、魑魅魍魎がウヨウヨしております。ただ ⼈間は、この物質領域の活動で評価が決まります。そうした意味で密教は「現世利益の教え」です。

これまでの仏教は、物質領域を「穢⼟(えど)」等と称し、⼤悲(エネル ギー領域)や菩提⼼(情報領域)を相対的に重視しました。真⾔密教は3つの領域を分けずに、それぞれの⼒を結集・統合します。

物質領域軽視のスタンスを「魔境」と呼びます。仏教の修⾏は、魔境を如何に回避するかが重要です。物質領域の中⼼的なエネルギーはお⾦、お⾦の流れを⾒れば、その⽅が魔境に迷い込んでいるか、ある程度の判断がつきます。

魔境の住⼈は「⾃分は分かっているのに周囲は理解してくれない」と感じます。物質領域から⽬を離すと、正しく美しい世界に囲まれます。その世界に陶酔すると「⾃分は神仏に近づいている」という⾃負が芽⽣えます。そのため⾃⼒での脱出が困難となり、そこで修⾏が⽌まります。

逆に物質領域重視のスタンスを「地獄」と呼びます。地獄では、才覚次第でお⾦も貯まります。

ビジネス・お⾦儲けは、物質領域では本質的に、弱⾁強⾷、騙し合いの性質を持ちます。今度はこのリアル感が視界を遮ります。魔境に経営者は少ないですが、地獄 には経営者もウヨウヨしております。

たとえば「ブラックな労働環境は、従業員を成⻑させる」と考える経営者は多いです。そういう経営者は、ご⾃⾝もブラックな環境の中を勝ち抜いて来られました。この考え⽅は物質領域において、必ずしも間違ってはいま せん。

ただ地獄から抜けてみると、労働環境を改善しながら従業員を成⻑させている会社が、実にたくさんあることに気付きます。地獄では社員の問題に⾒えるのですが、本 当は経営者の問題なのです。

【各領域の定義】
物質領域は、私達が⽣きる物質の世界、これは分かりやすいです。エネルギー領域は私達が五感では感じ取れない世界、たとえばオーラ、チャクラ、経絡などが知られております。情報領域は光速を越える虚数の世界、時間・空間の概念がありません。

⼤⽇経の有名な「三句の法⾨」では、「菩提⼼を因と為し(情報領域が根本原因)」と ⾔います。まずは悟りを⽬指さないと何も始まりません。

「情報領域には原型(ブループリン ト)がある」とも⾔われます。経営に置き換えれば「経営理念」です。経営理念が確⽴できていないと、地獄での⾦儲けに疲れ果てます。情報領域の中の⾼次の次元を「意識領域」と呼びます。意識はこの領域から発⽣し、発⽣した意識は、この領域に影響を与えます。

さらには⼤⽇如来という、⼈類共通・宇宙共通のワンネスの意識が、この領域を束ねます。個々⼈の情報領域は、宇宙全体(阿字)から発⽣し、宇宙全体(阿字)に 戻ります。

情報領域のエネルギーは、下のエネルギー領域へと流れます。「⼤悲を根と為し(エネ ルギー領域が基盤)」と表現されます。「何をするにも慈悲の気持ちが基盤だよ」と⾔ う訳です。

「慈悲の⼼」と「エネルギー領域」は、⼀⾒全く異なる⾔葉に⾒えます。こ の点を説明します。⼈と⼈の間の波動はとても強⼒です。こうした波動は、神仏の⼒とも考えられやすく、このエネルギー領域に属します。換⾔すれば、エネルギー領域の波動は、⼈と⼈との間でも強⼒に作⽤します。

さらには、⼈と⼈の間にエネルギーを通す コツは、相⼿への無条件の愛(⼤悲)です。つまり⼤悲は、エネルギー領域を別の⾓度 から表現しているのです。エネルギー領域は、7つの習慣の「公的成功」の⼟台でもあ り、私⾒ではありますが株式公開の成否に直結します。瞑想・マインドフルネスにより鍛えられる部分でもあります。

物質領域は、現世でのすべてが該当します。お⾦を巡る経営学・経済学も⼤部分は物質領域の教えです。囚われ過ぎて地獄に⽣きるのも、軽視して魔境に⼊るのも、密教の教 えではありません。

私は若い経営者には、⽶国・英国か中国などの⼀流⼤学のMBAを取得しなさい、とアドバイスします。経営の基本は物質領域にあり、ここで評価を受けます。瞑想では代替できません。ただMBAを学んでも、エリート意識で他⼈ との境界が⾼まったり(エネルギー領域の問題)、⼈⽣⽬的が地位とお⾦に制約された り(情報領域の問題)、問題を抱える場合も⾒られます。

◎本レポートは、リリアル曼荼羅プロジェクト・メルマガ21【2021年12⽉19⽇:双⼦座満⽉】の文章を、大原浩の責任により、抜粋編集したものです。

★南無大師遍照金剛 沼田 榮昭 
沼田功

ファイブアイズ・ネットワークス株式会社 代表取締役
日本証券アナリスト協会検定会員
復旦大学日本研究センター客員研究員

1964年 東京都練馬区に生まれる。
1988年 大和証券株式会社入社(本店第二営業部池袋支店配属)。
2000年 ファイブアイズ・ネットワークス株式会社設立 代表取締役(現任)
株式会社サイバーエージェント 監査役(現在は取締役監査等委員)。
2013年 徳石忠源(上海)投資管理有限公司(リンキンオリエント)
マネージング ディレクター(現任)、その他2社未公開会社の社外取締役を兼務。

著書 「IPO(株式公開)入門」(オーエス出版社)。

生涯100社上場を目指し、サイバーエージェント、楽天をはじめ現在70社を更新中。

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