一つの宗派だけではすべての人々を救うことはできない=神仏習合の意味。そして出会い。

 

 

「一目の羅(ら)、鳥を得ることあたわず。 一両の宗、何ぞ普く汲むに足らん」(天台法華宗年分縁起)。 これは伝教大師最澄が、朝廷に奈良仏教とともに、天台宗の公認を願い 出た時の文章です。

ここでは天台宗・法華経が最高だと主張している訳ではありません。 「一つの網の目で鳥を捕らえることができないように、一つの宗派だけ ではすべての人を救うことはできない」と言うのです。

この考え方は1,000年以上の歳月を隔て、キリスト教、イスラム教、ヒン ドゥー教、シーク教の代表者をも集めた、1987年の比叡山宗教サミット へと繋がります。その後も毎年比叡山では「平和の祈りの集い」が開催されます。

 最澄の天台宗は、円(法華経)・禅(坐禅止観)・戒(戒律)・念(浄 土念仏)・密(密教)の5つの教えを融合しました。円(法華経)一筋の中国の天台宗と、この点は大きく異なります。

 

その後天台宗から発した鎌倉仏教の諸宗派は、中国流に戻りました。 「一つの宗派だけではすべての人々を救うことはできない」という思想 は、実は当時の朝廷に綿々と引き継がれた考え方でもありました。

クリスマス(キリスト教)と元旦(神道)と葬儀(仏教)を使い分け、 神仏が見事に習合する日本人の宗教観は、歴史的な由縁があるのです。

 私は真言密教を最高の教えだと考えて来ましたが、浄土宗の僧侶資格取 得を目指し、これから修行を開始いたします。他の宗教・宗派から学ぶのに、喜びこそあれ、抵抗はありません。

高野山奥の院には、法然上人や親鸞聖人も眠っておられます。先月(9月)は高野山に参拝し、お大師様(弘法大師)にそのご報告をい たしました。

『「瞑想状態」に入れる方法(元井康夫著 徳間書店)』を読みました。 著者は電通の元常務執行役員、JAL・JR東海などの有名広告を手掛けたトップクリエイ ター、その上、真言密教の阿闍梨でもあります。詳細は読んで頂くとして、共感した部分が多くありました。

 たとえば真言密教必修の秘伝である四度加行について、「私の実感としては、神秘体験もしなかったし、何か特別なものを得て、以前の私と違った新しい仏になったとい うこともなかったのです」と赤裸々に書いています。勇気のある、本音の言葉だと感じました。

 私は自宅を道場に見立て、高野山よりも緩い環境で取り組みましたが、正直に申し上 げると、瞑想に対する苦手意識が高まっただけでした。 やはり高野山に入らないとダメなのかな、なんて思い悩む事もありました。

 それでも著者は、修行後に仕事で大活躍をされて、上司に「こんなに効果があるなら、あと2、3人、お山に修行に行かせようか」と言わせたそうです。

 そこにも少し、私と共通点があります。私は1週間で修行は挫折して「密教は無理だ!」と諦めました。 それでも「もしや」と考え、形だけの四度加行を継続しておりました。

ところがこの1週間で私の顔つきが変わってしまい、周囲の反応に私が驚きます。 「一体、沼田さんは何をやったんですか?」 恐る恐る「真言密教の秘法、四度加行をしております!」と申し上げると、皆さん納 得されますが、法衣を纏うのも中途半端、複雑な印や真言、所作に翻弄され、取りあえず最初から最後まで通しているだけでした。

 私は「瞑想嫌い」になり、四度加行をやり抜く事も叶わず、お師僧や神仏に申し訳な い気持ちが一杯で、その後仏教的には「余生」を過ごす気分でした。

 ただそこから奇跡の毎日が始まりました。 課題が出来ると、その課題を解決する人とのご縁が、繰り返し発生しました。「ビジネスは人脈」なんて書籍を出版しようと考えましたが、実は私には、今も人脈 は乏しく、あるのはセレンシビティ(偶然)だけでした。出会う人たちは明らかに神仏のお導きなので、いつもしっかりと手を合わせました。

それからも時折「どんな厳しい修行をしたら、そんなお顔になるんですか?」なんて 質問を頂きました。 真言密教の秘法は、私も効果は感じませんでした。

 

ただそれからは変則的な、しかしながら離れようがない形で神仏と、そして弘法大師 とのご縁が発生し、共に人生を歩むこととなりました。 劣等生だからこそ、できることなら金剛薩埵(理想の密教修行者)でありたい、という気持ちは、誰よりも強く抱いたのかもしれません。 四度加行には失敗しましたが、あの修行の時間には、今や感謝しかありません。

 

◎本レポートは、リアル曼荼羅プロジェクト・メルマガ42【2023年10月号】

を大原浩の責任で編集したものです。

 

★沼⽥榮昭(リアル曼荼羅プロジェクト主宰)、 人間経済科学研究所フェロー

楽天・サイバーエージェントなど有⼒企業の上場を ⼿掛け、⼤和証券株式会社公開引受部勤務時代から 通算して、70社強の株式公開を実現、「伝説の株式 公開請負⼈(⽇経新聞記事より)」と⾔われる。上場会社⽣涯100社構想に向けて、スタートアップ企業の発掘・育成・投資に現在も邁進。

2000年〜2021 年まで21年間、サイバーエージェントの社外役員を務める。⽇本証券アナリスト協会検定会員(証券アナリスト)。

⾼野⼭真⾔宗⼤⽇寺(代々⽊⼋幡)で得度、紫雲⼭宝瑞院(仏教寺院)副住職(就任予定)、復旦⼤学(中国・上海)⽇本研究センター客員研究員、⼤阪⾳楽⼤学客員教授、中華⼈⺠共和国主治中医師(内科)。真⾔密教、統合占星術・星平会海、量⼦⼒学波動デバイスTime Waver等を取り⼊れた「株式公開レベル」の経営⽀援を実施。

 

★ファイブアイズ・ネットワークス株式会社

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