仏教と量子論

 

仏教と量子論

「法印」とは仏教の特徴を表す「しるし」です。法印が無ければ、たとえお釈迦様が主役でも仏教ではないし、法印が揃えば凡夫の戯⾔も、仏教だと捉えることが可能です。

お釈迦様が直接説いた可能性が⾼いのは、古いスタイルの三法印(3つの法印)で、「諸⾏無常」「諸法無我」「⼀切皆苦」でした。現在の三宝印は表現が異なりますが、⼤きな意味の違いはありません。

三法印は古くから伝わる考え⽅なので、仏教以外にも取り⼊れられているのでは、と調べてみましたが、私が探した限りではほとんど⾒当たりません。今でも三法印は、仏教の旗印として機能しているようです。

⼈間の本能的・直感的な認識とは⾷い違う考え⽅なので、哲学的な探究には⾯⽩いネタでも、実践的⼈⽣論としては違和感が出るのでしょう。

この三法印の教えが、近年、量⼦論という予想外の分野から⾶び出しました。すべては相対的な存在で、関係性の中で意味付けられ、固有の実体は無く、すべてをコントロールすることはできない、という三法印的な物理学が量⼦論です。

この量⼦論は、キリスト教世界に⼤きな影響を与えました。以下は私の独断的な解釈です。

まず量⼦論は、全知全能の神の存在を、物理学的には完全否定しました。仏教(三宝印)でも全知全能の神はあり得ません。

メタファーとして、物語として、あるいは信仰⾯で、全知全能の神を設定することはもちろん可能ですし、意味のあることです。

近年、量⼦論は⼼や意識の分析にまで応⽤範囲が広がっており、いずれは物質領域の外であっても、絶対神の存在は否定されてしまうのかもしれません。

もう⼀つ、量⼦論は「個⼈」中⼼の科学の限界を⽰しました。わかりやすい説明の⼀つは、良く知られている「観測者効果」です。

簡単に説明すると、「観測する」という⼈間の意図が、現実の測定結果(例えば「光か粒⼦か」の結論)に影響を与えることが分かっております。

⼈間の思考⾃体が現実を動かすので、⼈間は純粋に観測者・傍観者でいることは出来ない存在で、つまりは常に世に起こる出来事の当事者なのです。

⼈間が「⾃分」と感じるものは、無数の様々な要素の巡り合わせ(縁起)に過ぎませんが、同時に無数の様々な要素に対し、直接影響を与えているのです。全ては繋がっているのです。

◎本レポートは、リアル曼荼羅プロジェクト・メルマガ39【2023年7⽉号】を大原浩の責任で編集したものです。

★沼⽥榮昭(リアル曼荼羅プロジェクト主宰)、 人間経済科学研究所フェロー

 

楽天・サイバーエージェントなど有⼒企業の上場を ⼿掛け、⼤和証券株式会社公開引受部勤務時代から 通算して、70社強の株式公開を実現、「伝説の株式 公開請負⼈(⽇経新聞記事より)」と⾔われる。上場会社⽣涯100社構想に向けて、スタートアップ企業の発掘・育成・投資に現在も邁進。

2000年〜2021 年まで21年間、サイバーエージェントの社外役員を務める。⽇本証券アナリスト協会検定会員(証券アナリスト)。

⾼野⼭真⾔宗⼤⽇寺(代々⽊⼋幡)で得度、紫雲⼭宝瑞院(仏教寺院)副住職(就任予定)、復旦⼤学(中国・上海)⽇本研究センター客員研究員、⼤阪⾳楽⼤学客員教授、中華⼈⺠共和国主治中医師(内科)。真⾔密教、統合占星術・星平会海、量⼦⼒学波動デバイスTime Waver等を取り⼊れた「株式公開レベル」の経営⽀援を実施。

★ファイブアイズ・ネットワークス株式会社

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