大乗仏教的「メタバース」
【ブロックチェーン、DAO、そしてWEB3】
メタバース宝瑞院は、宝瑞院の寺院承継問題からスタートしております。実は⽇本のお寺は衰退産業で、寺院承継は宝瑞院のみならず、⽇本全体の問題なのです。宝瑞院だけで解決できる問題ではありません。何か解決策が⾒つかったとしても、仏教らしくありません。
メタバース宝瑞院は、⽇本の寺院再⽣の、さらには地⽅再⽣の礎となってこそ、仏教らしいと思います。
仏教のメタバース化は⽇々進んでいます。ZEN(禅)のイベントがメタバース上で開催され、メタバース墓参の会社が話題を集めます。ただメタバースにブロックチェーンが絡む事例は少なく、DAOやWEB3となると、ほとんど⾒当りません。
最初の⼀歩は踏み出したのですが、「⼩乗メタバース」のステージです。ブロックチェーン、DAO、WEB3といった技術には、⼤乗的な要素が⾒られます。技術の話は難解ですが、私たちなりに消化したいものです。⼤乗仏教の国・⽇本に「⼤乗メタバース」を現実化する、これが私の今回の原点です。
各論に⼊ります。ブロックチェーンが技術で絡むのは、まずは本⼈認証です。分⾝であるアバターは、年齢、体型、ファッション、職業、時に性別までも変わります。メタバースでは誰もが「変⾝」できます。そこで引きこもりや⾝障者が別⼈格で登場し、ゲームやEスポーツでスターとなり話題を集めます。現実世界の連続性を⼀旦リセットする機能を持ちます。それにより現実に再進出するためのリハビリ機能、仲介機能を果たします。
万が⼀にもアバターが乗っ取られるようでは、リハビリどころではありません。プライバシーとは切り離しながら、本⼈と確実に紐付けられるからこそ、メタバースは引きこもりや⾝障者の活躍の場所を作ることができます。もちろん変⾝のメリットは、健常者も同様に享受します。
本⼈認証はこれまで、「アカウント・ネーム」と「パスワード」で⾏われてきました。ただこれだけでは簡単に乗っ取られます。ここに⽬をつけたFacebook社は、社名をMetaに変更し、本⼈認証のシステムの提供を通じて、メタバースの世界を⽜⽿る戦略を取りました。
Facebookのアカウント保有を前提に、オキュラスなどのデバイスを展開しました。Facebookは実名管理がベースですが、変⾝のメリットは享受できます。
ただ引き換えに、活動履歴情報がFacebookに集まります。情報の提供は、利便性を⾼める⾯がある⼀⽅で、プライバシーを危険に晒します。些細な利便性よりプライバシー確保を優先するのがWEB3の考え⽅です。
プライバシーに不安が残ると、引きこもりや⾝障者は、メタバースでも現実世界の延⻑線上で、単に⽀援を受ける存在になり兼ねません。それならメタバースである必要がありません。健常者でも、他宗教・他宗派の⽅も気兼ねなく参加できる、政的・経済的⽴場を隠したまま参加できる、年齢・性別を問わず対等な議論ができる、といった利点が考えらます。
少し⼤きな話ですが、第⼆次世界⼤戦において、⽇本の仏教は国家に全⾯協⼒します。この是⾮はさておき、DAOが機能していれば、こうした状況下でも仏教は健全に承継・伝道されるのです。
ブロックチェーンにはWALLET(ブロックチェーンの保管庫)が必要です。私の世代(50歳代)では難易度が⾼い課題です。WALLETを使いこなすおじさん、おばさんを増やせるかが、メタバース宝瑞院普及の最初の課題なのかもしれません。技術の発展にも期待したいところです。
WALLETを使うと、メタバース寺院独⾃の経済圏の構築、暗号資産(仮想通貨)への展開が⾒えます。Facebook社(現Meta)の仮想通貨リブラ(ディエム)の意味がここにもあります。GAFAを突き崩すWeb3を取り込み、中央集権型メタバースを狙った戦略と、私は理解しております。
【⼤乗は習合する】
7⽉明恵会(16⽇)&地鎮祭(17⽇)は、古流修験本宗の甑岳聖海先⽣をお招きしました。私が⾒る限り古流修験本宗は、天台密教(仏教)と吉⽥神道を⾼度なレベルで接続した、珠⽟の修験道です。当院は仏教寺院ですので、仏式の地鎮祭を期待される⽅もいらっしゃいました。ただ甑岳先⽣ともご相談し、神式の地鎮祭を⾏いました。
私は⽇本の神仏は習合し、分離は無意味と考えております。詳細は割愛しますが、⼤乗仏教は習合するのです。インドではバラモン教(後のヒンドゥー教)と習合し、中国では道教と、⽇本では神道と習合しました。私たちが⽣活する3次元空間&時間は、⼩乗の四苦⼋苦の世界です。⼤乗仏教は、⼩乗の技法と補完し合い、習合して初めて、現実を有効に動かします。
ビジネスでの私の⽬標は、⼩乗のIPOの技法に⼤乗仏教を習合させる⼤乗IPOでした。占いやスピリチュアルは概ね⼩乗、現実への効果は⼤きいのですが、同じく現実を動かすIPO経営学とは、反発する部分が出ます。階層が同じなので、野合はしても習合はしないのです。
さらに興味深いのは、⼤乗仏教⾃体が、習合により変化・発展する点です。⼤乗仏
教はインド・中国から来ました。ただ⽇本の⼤乗仏教は、インド・中国の⼤乗仏教を徹底し、進化を遂げた形態です。私が現代の⽇本⼈に、そして世界に発信したいのは、宗派の枠を超えた「⽇本の⼤乗仏教」なのです。
以下は私の妄想ですが、歴史的には聖徳太⼦に始まり、伝教⼤師最澄が中興の祖です。我らが法然上⼈も、⼤乗にこだわり抜いた⽅でした。⼤乗とは「和」です。和は倭(⽇本)、さらには輪でもあります。
輪は「⽇の丸」、そして円です。「円」は我が国の貨幣の単位でもありますが、仏教では「法華経」、仏教伝来の初めに聖徳太⼦が取り上げ、最澄がこだわり抜いたお経なのです。
最澄のライバル空海も、若年時は密教の優位性を誇ります。ただ晩年には全てが密教だ、密教は習合し(と表現してはいませんが)、宇宙のすべて、⼈間すべてを救うとする和の密教を説かれました。最澄と空海、同時代に仲良く喧嘩した⼆⼈に、理趣経の解説書の貸借問題など枝葉、深く影響し合った魂のレベルでの法友でした。
大乗仏教、とりわけ⽇本の⼤乗仏教は、現代的な意義の⼤きい教えです。ただそのままでは、使いこなすのが難しい教えでもあります。
お釈迦様も当初、この教えを伝える⾃信はありませんでした。仏教は進化します。習合はお釈迦様をも超える智慧なのです。
鎌倉時代、⼩乗的なプラクティス(修⾏法)を中⼼に仏教を再編成し、祖師達は⼤乗の現実化を企てました。ただお釈迦様は「(⼩乗の)苦⾏に意味はない」とも⾔います。
現代的に⾔い換えれば、トラウマの解消やお⾦のブロックを外すことも重要ですが、これだけでは⽟葱の⽪を剥き続ける話にもなりかねません。稲盛和夫⽒も若年時からコンプレックスに悩み続ける中で、偉業を成し遂げました。最後は⼤乗に到れなければ、⻑い旅に終わりは来ないのです。
◎本レポートは、リアル曼荼羅プロジェクト・メルマガ31【2022年8⽉・9⽉合併号】の文章を大原浩の責任で抜粋・編集したものです。
★沼⽥榮昭(リアル曼荼羅プロジェクト主宰)、 人間経済科学研究所フェロー
楽天・サイバーエージェントなど有⼒企業の上場を ⼿掛け、⼤和証券株式会社公開引受部勤務時代から 通算して、70社強の株式公開を実現、「伝説の株式 公開請負⼈(⽇経新聞記事より)」と⾔われる。上場会社⽣涯100社構想に向けて、スタートアップ企業の発掘・育成・投資に現在も邁進。
2000年〜2021 年まで21年間、サイバーエージェントの社外役員を務める。⽇本証券アナリスト協会検定会員(証券アナリスト)。
⾼野⼭真⾔宗⼤⽇寺(代々⽊⼋幡)で得度、紫雲⼭宝瑞院(仏教寺院)副住職(就任予定)、復旦⼤学(中国・上海)⽇本研究センター客員研究員、⼤阪⾳楽⼤学客員教授、中華⼈⺠共和国主治中医師(内科)。真⾔密教、統合占星術・星平会海、量⼦⼒学波動デバイスTime Waver等を取り⼊れた「株式公開レベル」の経営⽀援を実施。
★ファイブアイズ・ネットワークス株式会社
〒150-0044 東京都渋⾕区円⼭町5-4
フィールA渋⾕1402号 isao.numata@5is.co.jp
研究調査等紹介
挑戦と失敗
【仏教の表と裏】 世の中は 乗合船の 仮住まい よしあし共に 名所旧跡 (⼀休禅師) この世の中は、様々な⼈達が⼀緒に乗り合っている仮住まいの船、あれ が良い、これが悪いと⾔いながら貴重なこの世の出来事を経験 .....
経営と仏教の真実
【経営者と爬虫類脳】 私は資本主義に嫌気がして仏教を選んだ訳ではなく、むしろ逆で、お金を儲けるにはありのままを見る必要があるとの思いが出家の動機でした。 私は株式公開の専門家で、上場を目指すベンチャーは常に新しいことを考 .....
コインの表と裏
【株式公開と仏教】 <われをつれて、我影帰る月夜かな 山口素堂> 山口素堂は松尾芭蕉の盟友でもあった江戸期の俳人です。 月夜にくっきりと浮かぶ「我が影」が、頼りなさげな「われ」を先導しているかのように見える面白さを詠んだ .....
資本主義と瞑想のただならぬ関係
★「1970年までの『米国革新の世紀」と、これからの米国を語る」からの続きです。 【アーバン・ブッディズム】 もう一つの収穫は、自身が唱えてきた「アーバン・ブッディズム」とは何かが、この書籍(「米国経済成 .....