最高の戦略教科書 孫子
守屋敦箸日本経済出版社
「孫子」の兵法を「バトルロイヤル」のためのものであると指摘していますが、その通りです。サッカーや野球のようにAチーム対Bチームという整然とした戦いを想定しているのではありません。また、ルールに則った戦いではなく、プロレスの「デス・マッチ」のようなルール無用の戦いが前提です。
例えて言えば映画「監獄島」のように、凶悪犯10人が最後の一人になるまで殺し合いを続ける状況です。実際、春秋戦国時代はそのような熾烈な時代でした。
しかしそこまで激しく無くても、現代でも<企業戦争>を始め、戦いにおいては<生き残る>ことが重要であることは事実です。しかも、たとえ生き残ったとしても、さらに新たな敵が出現するかもしれません・・・ギリギリの勝利ではなく、十分な余力を蓄えた上での「完勝」を孫子が目指すのもそこに理由があります。本書の後半で触れられている<負けないようにする>こともそのための一つの回答です。
クラウゼヴィッツの戦略との対比もなかなか興味深いですし、奇襲戦法で知られたナポレオンも登場します。
孫子の本質が要領よくまとまっている良書だと思います。ビジネスマンにも大いに役立つと思います。
ちなみに、孫子はべトコンの愛読書でもあり、奇襲(ゲリラ)戦法の指南書ともいえますからテロリストたちにも大いに役立ちます・・・
<文責:大原浩>
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