トコトンやさしいガラスの本

作花済夫日刊工業新聞社

ガラスは、古代から使われている食器や鏡、窓ガラス以外に光ファイバーをはじめとするハイテク機器にも多用されています。その幅広い範囲で使用されているガラスについて、要領よくまとめた本です。

ただ、前半はまだしも、後半部分のハイテク機器に使用されるガラスについての解説に出てくる専門用語や数式は、私のような素人には結構ハードルが高いと思います。ただ、その部分は読み飛ばしても、それなりの理解はできる内容です、

ビジネスの世界で「小が大を飲む」として話題になった日本板硝子のピルキントン買収(売上高で2倍近かった)から10年以上が経過しましたが、その結果は大失敗です。ただ、本書で解説される「フロート法」を1952年に開発したのがピルキントン社であり、革命的であったことを考えると、日本板硝子の役員の判断が「曇って」しまったのも仕方が無いかもしれません。

昔は、窓ガラスを通して外の景色を見るとゆがんていたものですが、現在ではそんなことは無く、「すっきり、くっきり」と見えます。これはフロート法のおかげで、窓ガラスの表面に凹凸が無くなったからです。

また、一方からしか見えない窓ガラス(マジックミラー)というのも不思議な存在ですが、<部屋の明るさ、反射率、透過率>などを用いて、すっきりわかりやすく説明しています。

ちなみに、映画などでもよく登場する防弾ガラスは、概ね30ミリ強で<スーパー38口径オートマチック>、40ミリ強〜50ミリ強でライフルの弾丸を防ぎます。

<文責:大原浩>

 

参考書籍等紹介

確率とデタラメの世界 偶然の数学はどのように進化したか

デボラ・J・ベネット白揚社

 「杞憂」という言葉があります。  中国古代の杞の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配したという、「列子」天瑞の故事から生まれました。心配する必要のないことをあれこれ心配することを意味しますが、「天が崩れ落ちてくる確率」 .....

たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する

レナード・ムロディナウ ダイヤモンド社

 「偶然」にまつわるエピソードを、世の中の幅広い範囲にわたって歴史的に深く洞察した良書です。特に歴史的なエピソードには興味深いものが多く、カルダーノの半生は注目されます。  そもそも、「確率論」や「統計学」は、古代ギリシ .....

『アメリカ経済 成長の終焉(上・下)』

『アメリカ経済 成長の終焉(上・下)』 ロバート・J・ゴードン著,高遠裕子・山岡由美訳 ロバート・ゴードン教授(米国ノースウェスタン大学)といえば、米国のマクロ経済学者であり、生産性問題研究の大家である。本著は、ゴードン .....

名画で味わうギリシャ神話の世界

有地京子大修館書店

ダイナミックな愛憎の芸術を語る 有地京子氏は名画解説者であるが、「表意文字」ならぬ「表意絵画」の専門家でもある。例えばアルファベット26文字それぞれは単なる記号にしか過ぎないが、その多彩な組み合わせによって、驚くほど深い .....