フォントの不思議 ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
小林 章 美術出版社
サブタイトルの<ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?>というコピーが面白かったので読んでみました。内容はかなりオーソドックスなフォントの解説ですが、私のような素人にもとてもわかりやすく、楽しむことができました。
そもそも、それぞれのフォントには色々な作者が存在し、音楽、小説、映画のように、使用料(著作権料)を支払って使用するものであるということさえ知りませんでした・・・
ちなみに、パソコンソフトに備わっているたくさんの種類のフォントは、ソフトメーカーが作者(権利取り扱いエージェンシー)に使用料を払っているそうです。
その他にも、これまで知らなかった内容がたくさんあります。
例えば、古代ローマ時代にはアルファベットの「U」が存在せず、現代では「U」で表記記する部分も、「V」で表記していたことです(発音するときは同じ「V」の表記でも「Uの部分は区別していました)。「BVLGARI」が典型例ですが、別にこのブランドが古代から存在していたわけでは無く、歴史と伝統を印象づけるため、あえて古い表記法を採用することはしばしばあるようです。両者が明確に区別されるようになったのは、1700年頃と、比較的最近とのことです。
また、フォントの作成には<目の錯覚>も重要です。「X」の文字のクロスする二本の線が、実は2つの線が重なったものでは無く、クロス部分を中心に少しずらしてあって四本の線になっています。思わず、パソコンのフォントを最大の大きさにして定規を当てて確かめてみましたが、実際ごくわずかにずれています!
取り上げるフォントの事例も、「VOGUE」(雑誌)、「PIERRE MARCOLINI」(チョコレート)、「MARIAGE」(紅茶)など、なじみ深いものが多いことや、写真がふんだんに使われていることも、本書が読みやすい理由です。
(文責:大原浩)
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