超ヤバい経済学

スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー東洋経済新報社

前作も充実した内容でしたが、本作も前作同様あるいはそれ以上に充実した内容です。

豊富な学術データで「あっ」という結論に導く手腕は健在です。

と、言うよりも、普段我々がメディアなどのプロパガンダに毒されて、どれほど嘘やでたらめを信じ込まされているかを、本書を読むと痛感します。

「真実」は実のところ、受け入れるのがむずかしいものです。

人類最古の職業においてポン引きがどれほど役立つか実証されていますが、アイドルを抱える芸能プロダクションも同じ役割と言えるでしょう。ただ、芸能プロダクションのピンハネ率はかなりのもののようですが・・・

サルに「お金」を使わせる実験で、サルが最初に行った「革新」は強盗、そして餌以外のもので最初に買ったのは「メス」ですから、サルと人間の違いを見つけるのはますます難しいくなりそうです・・・

「地球温暖化教」については、地球は温暖化しつつあるという立場をとっていますが、「地球温暖化を騒ぎ立てる人々が多くの富を得ている」ことを、「地球温暖化の阻止は極めて低コストで簡単にできる」ことを実証することで、裏側から証明しています。

<文責:大原浩>

参考書籍等紹介

確率とデタラメの世界 偶然の数学はどのように進化したか

デボラ・J・ベネット白揚社

 「杞憂」という言葉があります。  中国古代の杞の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配したという、「列子」天瑞の故事から生まれました。心配する必要のないことをあれこれ心配することを意味しますが、「天が崩れ落ちてくる確率」 .....

たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する

レナード・ムロディナウ ダイヤモンド社

 「偶然」にまつわるエピソードを、世の中の幅広い範囲にわたって歴史的に深く洞察した良書です。特に歴史的なエピソードには興味深いものが多く、カルダーノの半生は注目されます。  そもそも、「確率論」や「統計学」は、古代ギリシ .....

『アメリカ経済 成長の終焉(上・下)』

『アメリカ経済 成長の終焉(上・下)』 ロバート・J・ゴードン著,高遠裕子・山岡由美訳 ロバート・ゴードン教授(米国ノースウェスタン大学)といえば、米国のマクロ経済学者であり、生産性問題研究の大家である。本著は、ゴードン .....

名画で味わうギリシャ神話の世界

有地京子大修館書店

ダイナミックな愛憎の芸術を語る 有地京子氏は名画解説者であるが、「表意文字」ならぬ「表意絵画」の専門家でもある。例えばアルファベット26文字それぞれは単なる記号にしか過ぎないが、その多彩な組み合わせによって、驚くほど深い .....