マインドフルネスと仏教
【令和の生成AI寺子屋】
宝瑞院は「令和の生成AI寺子屋」を掲げ、「マインドフルネス&生成AI」で地域の活性化に取り組み、また日本の仏教寺院の復興を目指しております。
孫正義氏は「汎用人工知能(AGI)は日本の大企業から始まる」と、SB OpenAI Japan社を立ち上げ、AIエージェントへの巨額の投資を発表しました。
私たちは茨城県鹿行地域の特性を活かした身近な生成AIの地道な民主化で、共に日本の洗濯を競ってみたいと考えております。
「アーバンブッディズム」は宝瑞院が提唱する情報化時代の仏教のあり方ですが、仏教を規格化して押し付けるのではなく、時代や人に合わせ形を変えるスタイルです。日本の仏教を愛したスティーブ・ジョブズ氏への、私なりの回答でもあります。
マインドフルネスの創始者ジョン・カバットジン博士は、マインドフルネスの原点ともいえる「MBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)」には、四聖諦、八正道、集中(samadhi)、智慧(prajñā)、戒律・倫理(Sīla)、無常・無我、四無量心(慈悲喜捨)といった仏教の基本概念が、仏教の言葉を用いてはいないものの、すべて含まれていると主張しております。
その上でマインドフルネスは宗教なのか科学(心理学)なのか、その判断は個々人に委ねられますが、私はマインドフルネスを「仏教」として捉えております。
ある禅宗の僧侶は「仏教は有機野菜、マインドフルネスはビタミン剤」と言っておりますが、マインドフルネスは純度の高いプログラムだと思います。
MBSRの日本人の講師有資格者は、まだ百人前後かと思いますが、学びを深める手段の一つとして、日本ではなく、東南アジアの寺院や仏教大学に留学しております。
何が正しいとか、お釈迦様に近いとか、そんな議論に私は興味はありません。お釈迦様の流れを引く上座部仏教が、欧米と科学を経由して現代化し、その上で、日本の大乗仏教とマリアージュする可能性を感じて、一人興奮しております。
【マインドフルネスと仏教】
マインドフルネスは、自らを仏教だとは主張しておりません。出家制度がない、師弟関係が無いなど、お釈迦様の教えと異なる部分もあります。
仏教用語は用いず、心理学等の学術用語や日常用語で積み上げられますが、これも私の求めていた仏教のスタイルに近いものです。四無量心を取り入れた、マインドフルネスのコースを受講した際も、四無量心に関するプログラムだとは、最後まで私は気が付きませんでした。
真言密教にも「四無量心観」という観法がありますが、一般には開かれておりませんし、マインドフルネスと比較すると高尚で生活の場での実用性には欠けます。
マインドフルネスに正解はないので、「四無量心」の根幹を揺るがす見解・発言が、教室では生徒さんからドンドン飛び出します。それを講師が矯正する事はなく、各人が「いま、ここ」で感じたことが、今のその方の「正解」なのだというスタンスが、教室では貫かれます。
私は、マインドフルネスの教室で用いられる教材の仏教的な意図はすぐに見抜けますが、そんな能力や資質は、教室では全く求められません。一から自分で感じる事が重要で、また感じるその瞬間が貴重なのです。
日本の大乗仏教の知識や経験は、むしろハンディになるのかもしれません。生徒の頓珍漢な感想・解釈にも、講師は好奇心を持ってオープンに理解に徹するだけ、議論をしたり、別の結論に誘導したりすることはありません。
私はついアドバイスをしたくなりますが、それは邪魔になるだけなのです。心に湧き上がる他人への「批判や評論」を、自分の先入観として捉え直してみて、それをただただやさしく観察するのがマインドフルネスです。
【観測者効果】
名称に「マインドフルネス」を冠していても、ヨガなどをベースとして、MBSRの流れを汲まない技法も数多くあります。MBSRの流れを汲んでいても、Google社のSIY(Search Inside Yourself)のように、何らかの誘導を伴う技法もあります。
皆さん、量子論の「観測者効果」をご存知でしょうか?「観測する」といった観測者の意図が、「粒子か波動か」という観測結果に影響を与えるなど、観測者の意図が観測結果を左右することで、そうなると観察対象の客観的な観測は困難です。
お釈迦様は、人の心の「観測者効果」を発見しました。「自分の心」を見つめようとする意図が、自らの心を動かしてしまうのです。
ただ意図を持たない時間を費やすことは、時間効率を第一に考える現代人、特にエリート・ビジネスマンには、とても難しい事です。ビジネスマンは他人より多くのストレスを背負うことが「大きな責任を担っている証明」とすら感じる、とても誇り高き人種です。
こうした現代人のために、宝瑞院も意図を持つプログラムを「本科」と名付け、正統なMBSRとは別に開発・展開する予定でおります。
MBSRの受講生は医師、看護師、理学療法士などの医療職、もしくは臨床心理士などの心理職が多く、精神疾患の患者だった方や、今も治療中の方もいらっしゃいます。
ある患者さんは、認知行動療法を学びながら、MBSRの講師を目指しておりました。
「大変ですね?」とお声をかけたら、「お金も時間も大変ですが、MBSRに出会うまではもっと大変でした」と話され、「この技法が必要な人のために、私も少しでも力になりたいんです!」と言われました。
経営者も逆境に陥ると、弱みを見せて相談できる相手は案外少ないものです。業績は瞑想以外の方法でもサポートが可能ですので、経営者の気分の落ち込みに対処する、マインドフルネスの認知療法を中心に、私は現在学びを続けております。
【時間管理から創造性の開発へ】
現代の経営のパラダイムは、時間管理から創造性の開発にシフトしております。
また人口減少と貧富の差が拡大し、社会が分断する中、経営者に求められる資質は、業績向上や自己実現能力以上に、「コンパッション」へとシフトしております。コンパッションとは仲間として共にやさしく存在する状態で、先に進み教え導くリーダーでもなければ、後から追いかけるフォローワーでもありません。得意の時も、失意の時も、分け隔てなく共に存在するのがコンパッションです。
自分を軸に据えるシナジー中心の関係構築は、コンパッション(四無量心)を基盤とした関係構築へと、経営の現場では移り変わりつつあります。
極論ではありますが、経営の現場では、個人の時代が終焉しつつあるようです。これはキリスト教的経営パラダイムから、仏教的経営パラダイムへの移行とも言えますが、日本の大乗仏教はキリスト教にも近いので、仏教者にはあまり響きません。
法然上人の「南無阿弥陀仏」は、私はコンパッションだと感じますが、この点はまた、別の機会に詳しくお話ができればと願っております。(親鸞聖人の「南無阿弥陀仏」は、「キリスト教的個人」の念仏と感じます。)
ちょっと話題が飛びます。私は「上座部仏教は、量子論的な視点が希薄だ」と考えておりました。その考えは今も変わりませんが、ただマインドフルネスを学んでみると、量子論の視点を加えなくても、お釈迦様の抜苦与楽のプロセスは完結していました。
加えても全く構わないのですが、特に必要は無いのです。
大乗仏教の「空」も不要なら、何か神仏とつながる必要もありません。
否定してはいませんが、無くても完結するので、無数にあるヨガ等の思想・技法からヴィパッサナー瞑想を選択し、そこに集中することを勧めているのです。
この点は法然上人の気分とも似ております。
◎本レポートは、<宝瑞院副住職 沼田 榮昭のマニアックなメルマガ 14【2025年2⽉】>を大原浩の責任で編集したものです。
◎沼田 榮昭(宝瑞院副住職)
楽天・サイバーエージェントなど有力企業の上場を手掛け、「伝説の株式公開請負人(日経新聞記事より)」と言われる。2000年~2021年まで21年間、サイバーエージェントの社外役員を務める。リカバリーインターナショナル株式会社(東証グロース:9214)社外取締役
宝瑞院(茨城県神栖市・浄土宗系単立寺院)副住職。中華人民共和国主治中医師(内科)、大阪音楽大学客員教授、情報経営イノベーション専門職大学客員教授、復旦大学(中国・上海)日本研究センター客員研究員。CIF認定TimeWaverセラピスト®️、RYT200(Registry ID: 417550)、ディープマインドフルネス®︎ヨガ認定講師。
ファイブアイズ・ネットワークス株式会社
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