日本でもシナでも、改革の失敗は小人を重用したところにある…

 
 

 

昭和歴代首相の指南役として知られる安岡正篤先生が、人財の等級について述べていた。


その最上位は、性格が忠実で才能も見識もある者(1)。
それに続くのが、才能はまずまずだが、忠実で節操がある者(2)。
さらにその下が、才能はあるが信頼出来ない。でも、使い方次第で役に立つ者(3)。
最低は、邪心を抱いて周囲を観察し、形勢次第でどう変わるか分からない者(4)で、これは間違いなく小人とのこと。日本でもシナでも、改革の失敗は、この小人を重用したところにあるという。(安岡正篤著『東洋宰相学』福村出版155頁)。


これらをまとめれば、下記のようになる。


(1)性格が良く、能力も高い。
(2)性格は良いが、能力は普通。
(3)能力は高いものの、性格が良くない。だが役に立つ。
(4)能力はありそうだが、自分の成功ばかり考えていて裏切り者となる。


一番欲しい人財が(1)のタイプであることに異論は無い。(2)も、大きな期待は出来ないが、安心して用いることが出来る。


問題は(3)と(4)で、ちょっと見ただけでは、なかなか両者の判別が難しい。どちらも、いかにも出来そうな雰囲気を漂わせていて、実際にやらせてみれば相当の成果を出すからだ。


しかし、次第に違いが見えてくる。(3)タイプは、なかなかのへそ曲がりだ。性格が悪くて扱い辛いところがある。それでも職務を遂行する内に、組織や活動に対する、それなりの愛着を持ってくれるようになる。


これが(4)のタイプになると、原点から違っていて危険が多い。この輩は偉くなりたいだけで動いており、もともと働く場はどこでもよく、仕えるトップは誰でもいい。


口では巧いことを言うが、トップに対する尊敬心なんて殆ど無い。トップを軽んじ、社長はただの役職者に過ぎないと誤認し、やがて「本当の社長はこの私だ」などという傲慢な態度を取ることにもなる。


このタイプが、どうにか身を留めているのは、その場を思い通りに動かし、トップを都合よく操れる間に過ぎない。嫌気が差して辞める頃になると、お決まりのように内部を分裂させるほどのトラブルを起こしてしまう。とうとう摩擦や衝突で居心地が悪くなれば、もっと自分を高く買ってくれるところに自分を売り込み、さっさと身を移す。その変わり身が実に早い。


この(4)タイプを、事前に見極められないものか。それが分かれば、組織が被る害を、ある程度食い止められることになるはずだ。筆者は、下記のような兆候で、一定の見極めが可能であると思っている。


・出たがる~自分から激しく手を挙げて売り込んで来る。
・いばる~才能を鼻に掛けて回りを見下し、偉ぶる。
・いじめる~自分よりも弱い立場の者に対して横柄。
・いじける~相手にされないと、たちまちすねる。
・きれる~何かと子供っぽく、思い通りにならないとすぐ怒る。
・わがまま~自分の都合で勝手にやってしまう(独断専行)。


これらをチェックし、正式採用(依頼)の前に、しばらくお試し期間を置いてみたらどうだろうか。これなら良さそうだと思って採用に至ってからも、まだチェックを続け、簡単に権限(人事や会計など)を与えてはならない。


いよいよ何かを任せるときも、いざとなったら解任可能な役職(状態)に留め、本当に信頼出来るかどうかを観察し続けよう。もしも問題があると分かった場合は、迷わないで任を解くべきである。


人無くしては、仕事も活動も進まない。仕事の苦労は、まさに人の苦労だ。益々激動の時代に入るのだから、人もどんどん流動化する。その変化を、人事のチャンスに生かさねばならない。人事と任用の心得を学ぶ上で、安岡教学ほど深い学びはあるまい

★林英臣(はやしひでおみ)東洋・日本思想家
HP http://www.hayashi-hideomi.com/


略歴 昭和32年浜松市生まれ
東京鍼灸柔整専門学校卒(現・東京医療専門学校)
松下政経塾1期生
東洋・日本思想家 一般社団法人政経倶楽部連合会主席顧問 同法人併設日本政経連合総研理事長 一般社団法人綜學社やまとことば語り部養成協会代表理事 国会綜學勉強会講師 一般社団法人公益資本主義推進協議会相談役
松下幸之助氏の直弟子として「国手」となる約束を交わし、日本改新を志す。
林塾「政治家天命講座」を開講し(令和2年度で第15期)のべ8名の国会議員、8名の首長、200名超の地方議員をはじめ、多数の政治家を育てている。
主に経営者・政治家などリーダー層を対象に年間約140回の講演をこなす。
平易で情熱的な雄弁にファンが多く、青少年への講義にも定評がある。
平成17年のスカパー衛星放送での中国思想講義も好評を博した。
海外では中国(中国社会科学院、内蒙古大学)、台湾(中国生産力中心 他)、オーストラリア(サンシャイン・コースト大学)などで講演。


1985年の著作 「21世紀・日本への提言」(共著)以来、「2025年~2050年 最激変期は、これからやって来る!」 博進堂 2020年、「絵本やまとことば神話 よく分かる古事記の神々」 博進堂 2021年に至るまで数十冊を数える

★林英臣(はやしひでおみ)東洋・日本思想家
HP http://www.hayashi-hideomi.com/


略歴 昭和32年浜松市生まれ
東京鍼灸柔整専門学校卒(現・東京医療専門学校)
松下政経塾1期生
東洋・日本思想家 一般社団法人政経倶楽部連合会主席顧問 同法人併設日本政経連合総研理事長 一般社団法人綜學社やまとことば語り部養成協会代表理事 国会綜學勉強会講師 一般社団法人公益資本主義推進協議会相談役
松下幸之助氏の直弟子として「国手」となる約束を交わし、日本改新を志す。
林塾「政治家天命講座」を開講し(令和2年度で第15期)のべ8名の国会議員、8名の首長、200名超の地方議員をはじめ、多数の政治家を育てている。
主に経営者・政治家などリーダー層を対象に年間約140回の講演をこなす。
平易で情熱的な雄弁にファンが多く、青少年への講義にも定評がある。
平成17年のスカパー衛星放送での中国思想講義も好評を博した。
海外では中国(中国社会科学院、内蒙古大学)、台湾(中国生産力中心他)、オーストラリア(サンシャイン・コースト大学)などで講演。


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