よくわかる病理学の基本と仕組み
田村浩一秀和システム
<おわり>に書かれている内容によれば、執筆を始めてから3年・・・一般の読者にもわかりやすいように、編集者からの「?」に答え続けて完成した本だそうです。確かに、私のようなど素人にも驚くほどわかりやすい本です。
写真や図解もふんだんに使われていますが、このような良書に仕上がったのは著者のキャラクターによるところが多いのではないでしょうか?索引の後ろに隠れるようにして掲載されていたので、危うく読み落とすところだったのですが、かなりユニークな経歴の方で、しかもそのユニークな経歴をこのような専門書のプロフィールとして掲載するところが「ユニーク」です。
病理学の本を読んだのは、今後日本で発展する医療関係のビジネスを研究するうえで、医学の基本ともいうべき病理学の知識は不可欠だと考えたからです。その他に米国TVドラマの「ドクター・ハウス」の中でよく「生検」という言葉が出てきて気になっていたことや、「チーム・バチスタ」シリーズで、病理医が結構登場することなどもありますが・・・
もちろん、木に例えられるそれぞれの臓器や部位の細かな症例にも触れていますし、すっきりと(それなりの努力は必要ですが)内容が理解できます。しかし、それ以上に「人体」という森に対する見方(哲学)がしっかりしているので、読み進むうちに「人体の仕組み」がとてもよくわかるようになります。
実用面でもっとも役に立ったのは「痛くない注射の方法」です・・・
<文責:大原浩>
参考書籍等紹介
『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録』、映画ディア・ファミリー原作
清武英利著、文春文庫 事実を基にした「ノンフィクション」である。 語り口は淡々としている。取り立てて激しい感情表現があるわけでは無い。 だが、登場人物たちの心の奥底から湧き上がってくる感情が、圧倒的な力で迫っ .....
「黄金の馬」 パナマ地峡鉄道 ー大西洋と太平洋を結んだ男たちの物語ー
ファン=ダヴィ・モルガン著、中川 普訳、三冬社 本作品は、子供の頃夢中になって読んだロバート・L. スティーヴンソンの「宝島」を思い起こさせるところがある。子供向けの簡略版であっ .....
確率とデタラメの世界 偶然の数学はどのように進化したか
デボラ・J・ベネット白揚社
「杞憂」という言葉があります。 中国古代の杞の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配したという、「列子」天瑞の故事から生まれました。心配する必要のないことをあれこれ心配することを意味しますが、「天が崩れ落ちてくる確率」 .....
たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する
レナード・ムロディナウ ダイヤモンド社
「偶然」にまつわるエピソードを、世の中の幅広い範囲にわたって歴史的に深く洞察した良書です。特に歴史的なエピソードには興味深いものが多く、カルダーノの半生は注目されます。 そもそも、「確率論」や「統計学」は、古代ギリシ .....