図解雑学 よくわかる脳の仕組み

福永篤志監修ナツメ社

 

AI(人工知能)やエキスパートシステムのことを勉強し出すと、「やはりモデルとなっている人間の脳についてもう一度勉強しなおすべきだ」という思いに駆られ、読んでみました・・・

2006年の発刊ですから、発達著しい脳科学分野のいくつかの重要情報は取りこぼしているかもしれませんが、人間の脳に関する根本部分はほぼ網羅していると思います。

さらに、見開き2ページのごく短い文章と多くの図解で、それぞれの小項目の内容がとても簡潔かつわかりやすく解説されています。脳科学のパノラマ図を観ているような感覚です。

脳の進化から、脳死や夢などを経て、脳の老化防止まで・・・多種多様な内容がぎゅっと圧縮されています。しかも、多種多様な話題を扱いながらも統一性をしっかりと感じさせます。

「よくわかる」という看板に偽りはありませんし、「図解」も十分に満足できる水準です。

ちなみに、本書を読むと、老化によって神経細胞が減少(20歳ごろがピーク)するのは仕方が無いことのようですが(アルコールやたばこを控えればスピードは遅くなるようです・・・)、脳に刺激を与え続ければ、海馬の細胞が増えたり、ニューロンの結合が新たに生まれるそうです。

意欲を持って楽しく指を動かすことがとても効果があるそうですから、こうやってキーボードをたたきながらブログを書くことが、ボケ防止にならないかと密かに期待しています・・・

< 文責:大原浩>

 

 

 

 

参考書籍等紹介

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確率とデタラメの世界 偶然の数学はどのように進化したか

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たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する

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