脳はバカ腸はかしこい

藤田紘一郎三五館

 

世にあふれる医療常識、健康常識のほとんどは、現代の祈祷師ともいえる医師や評論家などによって発信される「何の(科学的)根拠もない」まがい物の情報です。

 

実際、マスコミやネットで流される「常識」の大部分が素人の私にもわかる科学的矛盾だらけなのには驚かされます。

 

本書で藤田氏も述べているように、特に日本においては「同調圧力」が強く、「偉い人が言った」というだけで、<右へならへ>になってしまう恐ろしい部分があります。

 

もちろん、藤田氏が述べる本書の内容がすべて正しいのかどうかはわかりません。しかし、「自らの体の中でサナダムシを飼って実証実験」をしたり、既存の常識にとらわれることなく、自らの世界を股にかけた体験の中で、「脳と腸を使って」熟慮したうえでの発言はかなり説得力があります。

 

発生学的には、「腸が脳の祖先」であるということは、大昔にならったような気がしますが、この本を読んで改めて、それが重要な事実であるということを感じました。

 

そもそも、人間の脳が人間全体を支配しているというのは、比較的最近始まった考えです。事実、古代エジプトでミイラを作成する際に、魂が宿っていると信じられていた心臓などの内臓は、カノプス壺で大事に保管されましたが、脳は無用の臓器として鼻の穴から搔き出されました。

 

また、現在の脳科学では、「脳で考える前に体が動いている」ことが明らかになっています。つまり、脳が考えるから体が動くのではなく、体が動くから脳が考えるのです。現在の「脳科学の常識」では不思議に思えることですが、脳の祖先である腸が考える(脳を持たない我々の祖先の生物は本当に脳で考えていましたし、脳で考える生物が生まれたのは地球史詩的に言えばつい最近のことです)のだと理解すれば、当然のことです。脳は腸で考えたことを、体の各部につなげる中継センターにしかすぎないのかもしれないのです・・・

 

(文責:大原浩)

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