サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る

スティーブ・ケースハーパーコリンズ・ノンフィクション

大学生のときに、アルビン・トフラーの「第三の波」を読んだ時の衝撃は今でもはっきり覚えていますが、私と同世代である本書の著者も同様のようです。

私が過去「代表取締役平社員」(あいであ・らいふ)などの著書で、第4次産業(知識・情報産業)第5次産業(感性の産業)の時代を主張したのも、アルビン・トフラーの「第三の波」の流れの中でのことです。

著者は、第三の波の中で勃興したインターネット産業の中でも、<IoT>によってすべてのものがつながる第三の波がやってきていると主張しています。その点については同感ですし、今後のビジネスの中で<政府とのかかわり方が重要になる>という点にも共感できます。ただ、全体として、第3の波がどの様なものかについての説明が不足していますし、記述内容の大半は、AOLを中心としたIT業界の歴史です。

AOLの共同創設者である筆者の半生記として読めば、それなりに面白いと思います。企業買収が、筆者も含めた経営者のエゴを満たすだけのものであるケースが大半であることが良くわかります。

 

<文責:大原浩>

 

 

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