図解入門 よくわかる最新 発電・送電の基本と仕組み 電気事業の新常識「第3版」

木舟辰平箸秀和システム

歴史を区分するときに、石器時代、青銅器時代、鉄器時代などと呼ぶことがあります。その区分法に従えば、現在は間違いなく「電気時代」です。街灯にガスが使われていたのはそれほど昔ではありません。日常的に電気が使用されるようになってからまだそれほど時間が経っていないにも関わらず、電気が現代文明の生命線になっていることは、停電のたびに多くの人々が痛感しますし、その傾向はますます強まっています。

その生命線である電気=電力分野で大きな改革が行われている日本の現状は、断片的に伝えられているものの、全体像は非常にわかりにくいものでした。そのごちゃごちゃした内容をすっきりとまとめたのが本書です。

冒頭のそもそも「電気とは何ぞや」という話も明瞭簡潔でわかりやすいですし、規制でがんじがらめになった電力業界が、自由化によって解き解き放たれていくさまも、うまく描写しています。

ただ一つ残念なのは、本書でも<地球温暖化教>の<教義>に基づく記述が散見されることです。そもそも、人類は氷河期が終わって地球が温暖化したからこそ文明を生み出しました。そして現在は間氷期であり、また氷河期がやってくるのは地球のサイクルから確実です。

温暖化の弊害が色々述べられていますが、寒冷化の弊害に比べれば大したことはありません。歴史を振り返れば、ちょっとした冷害でさえ大飢饉を引き起こし、娘を売りに出すどころか、人肉を喰らったことさえあります。

また、現在地球温暖化論者が持っている<証拠>は、<ジーザス(キリスト)が湖の上を歩いたという目撃者がいる>というレベルのもので、科学的根拠はほとんどありません。ただ、難しいのは、例えば「宇宙人に連れ去られた」と主張する人々に、そんなことあり得ないと100%証明する方法が無いことです。ごくわずかでも否定できない要素があれば、「そんなことあり得ない」と主張すべきでないというのも、科学の重要な考え方です。

<文責:大原浩>

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