IoTの衝撃 <Harvarad Business Review>

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部ダイヤモンド社

AOL共同創業者のスティーブ・ケース著「ザ・サード・ウェーブ」では、<第3の波>がやってきつつあることを強調していましたが、私も同感です。

1950年ごろからの(汎用)コンピュータの普及が第1の波、1990年代からのパーソナル(モバイル)コンピューティングやインターネットの爆発的普及が第2の波であるとしたら、現在間違いなく第3の波に突入しています。

本書ではその第3の波を<IoT>に絞って論じていますが、第3の波は<AI>や<ロボット>の発達などの複合的要因が絡まって<爆発>するのではないか思います。第2の波がインターネットなどの通信網の発達とパソコンやモバイル機器の急速な進化が両輪となっていたのと同じことです。

本書でも述べられているように<IoT>ですべてのものがインターネット(本書では三種類に区別されている)につながるようになったとき、どのような<爆発>的変化が訪れるのか想像は困難ですが、これまでの経済構造を根底から覆すことになるでしょう。

ただ、<IoT>が個人レベルで進化するときには<情報は誰のものか>という厳しい問題に直面します。現在は無法状態ですが、大きな事件が起こって、規制強化されたり、個人からの情報の提供が拒絶されることが無きにしも非ずです・・・

マイケル・ポーターとジェームズ・E・へプルマンの共同論文が2本掲載されていますが、可もなく無く不可もないレベルの内容です。全体としても、一応及第点です。

ただ、学者等の論文を翻訳しているので、とても読みにくい文章なのはつらいところです・・・

<文責:大原浩>

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