安倍さんほどお金にクリーンだった政治家は珍しい


安倍さんはなぜリベラルに憎まれたのか – 地球儀を俯瞰した世界最高の政治家」(ワニブックス)を8月29日に刊行する。

本の帯に書いてある宣伝文句は以下の通りだ。

安倍狙撃事件の犯人を生み出したのは〝反アベ無罪〟を煽った空気だ!

「命が狙われて初めて政治家」と言った安倍晋三の覚悟。

「安倍をたたき斬ってやる」と言った人たちの屈折した心理。

世界で通用しない珍奇な日本の「偽リベラル」の深層。

あの悲劇すら嘲笑する朝日新聞の無粋な川柳騒動

「歴代総理の通信簿」を綴った著者が大政治家の世界史的価値を描き出す本格評伝。

「安倍元首相が著者に遺した未公開の言葉も収録」とあるのは、「日本の総理大臣大全 伊藤博文から岸田文雄まで101代で学ぶ近現代史」や「家系図でわかる 日本の上流階級 この国を動かす「名家」「名門」のすべて」の執筆過程で、インタビューの形では公開しない前提でお聞きした話の一部を差し障りがない範囲で公開しているからだ。

本日は、その本書の中から、安倍さんという政治家がお金について非常にクリーンだったという話を書いた部分を少し短縮して紹介する。

<政治家が私腹を肥やしていると思って行われるテロはだいたい勘違い>

5.15事件にしても2.26事件にしても、裏には外交路線をめぐる対立があったが、直接に軍人たちを駆り立てたのは、政官癒着や贅沢への反発だった。しかし、指摘された疑惑は、いずれも可能性の指摘に過ぎず、(当時の鳩山一郎文部相が逮捕されたが無罪ととなり、空中楼閣と結論づけられた帝人事件など)事後的においても立証されていない、

政策論争で攻めあぐねた側が思わせぶりにひどい腐敗があるような空気を創り上げて そもそも、安倍氏はあまりお金を必要としなかった政治家である。次期総理を目前にして病死した父親の強固な地盤を引き継いだから選挙では楽勝を続け、派閥を率いたことも最近までなかったから、援助と言っても選挙応援が主体だ。

生活も庶民的とはいえないが、晋太郎氏の自宅を小さなマンションに建て替えてその一部屋に住んでおり、豪邸というほどでないし、お子さんもいないから欲を出す必要もない。趣味と言ってもゴルフとか、映画やテレビドラマを見ることなどと(もっともお気に入りのドラマは「ふぞろいの林檎たち」らしい)、さほど凝っているわけでもない平凡なグルメくらいだった。

首相時代にローマを訪問したとき迎えた安倍氏と旧知の河野雅治大使(当時)から聞いたところでは、旧知の安倍さんの趣味を考えて案内したのが場末の小さなピッツァリアで予想通り大喜びで、その後も会うたびに「うまかった」といわれたという。

茶道に凝って道具を集めるわけでも、美術品にとくに興味もないし、ブランドものに拘ったおしゃれもしていない。小泉純一郎元首相ようにオペラが好きだとか云うこともなく、夫人の誕生日のサプライズに60年ぶりにピアノの猛練習したという程度だ。むしろ、高尚な文化的関心がないことを批判される余地が欠点としてありえるほどだ。

もちろん、女性についてのスキャンダルもなかった。昭恵夫人は実家が金持ちだし、その割には贅沢というほどでもないから、夫人のために集金など必要ともしていない。

つまり、私利私欲のためにも政治的にも無理な金集めなど必要としていなかったし、取り巻きの面倒見がそれほどよかったわけでもない。

田中角栄に代表されるたたき上げ政治家が、豊富な資金集めでのし上がってきたり贅沢したことが非難されるのについて、世襲王国である日本政界の不条理に起因すると同情する余地はあるが、少なくとも安倍氏がお金に関してダーティーであると批判されるのはなんとも不思議であった。

しいていえば、情に訴えて批判を切り抜けることを潔しとしなかったのが仇となって反省や説明がないとつけ込まれ反発を招いたのは、もう少し世渡り上手であって欲しかった気がするだけだ。

それが昨年の総選挙ののち、清和会の会長になってからは、票や資金の差配に関わる機会がはじめて出てきたかもしれないが、ある意味でそれが本格化するまえに暗殺されてしまったのである。

(八幡和郎)

★本レポートはアゴラ(https://agora-web.jp/)から転載させていただきました

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