株式公開の最奥義:社長とCFOの関係

株式公開の最奥義:社長とCFOの関係

 

序章:化学調味料

著名なフレンチのシェフ三國清三さんは、ご⾃⾝の料理に化学調味料は使いませんが、カップラーメンは召し上がるそうです。

 

「なぜ多くの⼈に化学調味料が求められているか、ちゃんとわかっておきたいからね」と、新聞のインタビューで話しております。

 

「沼⽥さんの仏教は、『ミクニ』ブランドで、化学調味料⼊りのフレンチを提供する話ですね」とのご批判がありました。

 

批判は「的確な理解」が前提であり、私はよき理解者を得たようです。

 

私たちの「アーバンブッディズム」は、伝統的な仏教の⽅法論に基づいて、⼭やお寺で修⾏をする仏教ではありません。

 

⽣活空間である「都市」で、つまりはそれぞれの「ご⾃宅」や「オフィス・仕事場」で、仏さまを⽬指し、仏さまとして⽣きる仏教です。

 

⽬指すのは、伝統的な仏教の否定ではなく補完です。確かに化学調味料⼊りのフレンチとも⾔えるのかもしれません。

 

ただあの三國シェフが化学調味料を使うのだとすれば、私も⼀⽫味わってみたい気がします。

 

株式公開の最奥義

私は株式公開の専⾨家・投資家でした。今回は私の株式公開の最奥義を伝授いたします。

 

資⾦も⼈材も乏しいベンチャー企業が、株式公開に到達する秘訣は、会社を「宗教団体」に育てることです。

 

21年間監査役、社外取締役を務めたサイバーエージェントも、私には「藤⽥教団」に⾒えました。

 

強い教団には社⻑(教祖)が重要ですが、社⻑だけなら個⼈経営と変わりません。実は、社⻑(教祖)を補佐するCFO(宗務総⻑もしくは番頭)が決め⼿なのです。迷信じみた⾔い⽅ですが、社⻑とCFOは陽と陰、私の好きな⾔葉で表現するなら「エンタングルメント(量⼦もつれ)の関係」です。

 

⼤半のスタートアップ企業は、社⻑にエネルギーが偏り、バランスが乱れます。社⻑に財務の知識があっても、私の経験では、CFOが不在だと会社は成⻑しません。CFOが機能するまでは少し苦しいですが、CFOが機能しないと上場準備中に、もしくは上場後に、会社は崩壊してしまいます。

 

CFOは社⻑を⾃由にして個性を花開かせる秘儀であり、上場戦略の最奥義なのです。私のIPOコンサルティングは、抽象度の⾼いステージからCFOをサポートし、CFOの⼒を借りて、社⻑のビジョン・個性を全開にする⼿法です。

 

社⻑がブレるのは、社⻑個⼈の⼈格的な問題にのみ起因する訳ではありません。マーケティングや営業、商品開発は、社⻑の業務の隣接領域で、信頼のおけるパートナーがいても⼀緒にブレてしまい、会社は直線的な成⻑ステージには⼊りません。

 

経理ができる、⽉次決算が翌⽉中旬までに閉まる、といったテクニカルな話も重要ですが、それだけなら外注でも対応できます。CFOが経営に参画しないと、社⻑の⾃⼰実現は中途半端で会社も安定しません。

 

CFOは経営陣で投資家に⼀番近く、CFOが理解できなかったり、懸念を⽰す経営⼿法は、素⼈の経営者がワクワクできても、プロの投資家からは相⼿にされません。

 

私は今、リカバリーインターナショナル株式会社の社外取締役を務めております。看護師、理学療法⼠などが主体の会社で、創業時から会社の軌跡を⾒てきました。

 

数年前の話ですが、新しいCFOから「相談がある」と呼び出されました。まだ会社の混乱が続いていた時期で、わざわざ会⾷の席を設定されたので、退職の相談でなければ良いなと思いながら、伺いました。

 

「⼤河原社⻑は古参社員からの相談を受けて⼼がほだされて、会社の⽅針に反する指⽰を出してしまった」という相談でした。

 

CFOとしても社⻑の事情は理解できるし、話が⼤きくなるのも避けたいので、話の持ち出し⽅に苦慮しているようでした。

 

伝わり難い話でしょうが、これがエンタングルメント(量⼦もつれ)の関係です。

 

この会社は上場できるかもしれないなと、この時に私は思いました。少なくとも私の元には、その後社⻑がブレている、という話は⼊らなくなりました。

 

社⻑は主に「⽬的地」に責任を持ち、CFOは最適で効率的な⽅法論を統括し、他の役職員はそれぞれの⽴場での結果を⽬指し⾏動します。⽬的地が少しブレると⽅法論は激変し、CFOの業務は混乱します。

 

社⻑が効率や⽅法論を優先し、⽬先の結果を追いかけ、もしくは業務の⼿を抜くと、⼀時的ではあるにしても、会社は本来の⽬的地を⾒失ないます。社⻑としての「総合判断」ではあっても、役職員や顧客などの利害関係者には、社⻑の背中がブレていると感じます。

 

実は私も社⻑時代、「ブレている」という突き上げを何度も頂きました。CFOはいましたが、私にも財務の知識があり、かえって使いこなせませんでした。

 

どんな会社も上場させてきた私ですが、⾃分の会社の上場には失敗しました。

 

◎本レポートは、リアル曼荼羅プロジェクト・メルマガ36【2023年4⽉号】を大原浩の責任で編集したものです。

 

★沼⽥榮昭(リアル曼荼羅プロジェクト主宰)、 人間経済科学研究所フェロー

楽天・サイバーエージェントなど有⼒企業の上場を ⼿掛け、⼤和証券株式会社公開引受部勤務時代から 通算して、70社強の株式公開を実現、「伝説の株式 公開請負⼈(⽇経新聞記事より)」と⾔われる。上場会社⽣涯100社構想に向けて、スタートアップ企業の発掘・育成・投資に現在も邁進。

2000年〜2021 年まで21年間、サイバーエージェントの社外役員を務める。⽇本証券アナリスト協会検定会員(証券アナリスト)。

⾼野⼭真⾔宗⼤⽇寺(代々⽊⼋幡)で得度、紫雲⼭宝瑞院(仏教寺院)副住職(就任予定)、復旦⼤学(中国・上海)⽇本研究センター客員研究員、⼤阪⾳楽⼤学客員教授、中華⼈⺠共和国主治中医師(内科)。真⾔密教、統合占星術・星平会海、量⼦⼒学波動デバイスTime Waver等を取り⼊れた「株式公開レベル」の経営⽀援を実施。

 

★ファイブアイズ・ネットワークス株式会社

 〒150-0044 東京都渋⾕区円⼭町5-4

 フィールA渋⾕1402号 isao.numata@5is.co.jp

 

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