瞑想でお⾦持ちになれますか?

 

「瞑想でお⾦持ちになれますか?」というご質問を頂きました。

私の会社が破綻したのは密教修⾏の最中、広い意味で瞑想中でした。私のお師僧も阿闍梨を取得した後、朝⼣の勤⾏(瞑想)は⽋かしませんでしたが、かつて経営に失敗されたことがありました。

歴史上極貧を⽣きる⾼僧・名僧も多く、瞑想がお⾦に直結しないことは明らかです。

ただ⼀⽅で、成功した経営者の⼤部分に瞑想の習慣が⾒られます。華僑財閥のトップも、私が知る限り瞑想の習慣があります。

そこで「瞑想は、お⾦儲けの必要条件ではありますが、⼗分条件とまでは⾔えません」と、私はお答えいたしました。

⼀⼈になって、⾃分なりに理由を考えてみました。

相⼿が若い経営者の場合、私は瞑想よりも、たとえば著名MBAコースの受講をお勧めしておりました。ビジネスの知識や最新ノウハウを、柔軟に適応する能⼒と謙虚さを、若い世代は持っております。

若い成功者の場合、成功とはいっても⼀時的なものに過ぎないかもしれませんが、瞑想の習慣が無いケースもある程度⾒られます。

私の場合は35歳から、知識やノウハウが⾝に付き難くなりました。仕事で実績が出ていましたので、ステレオタイプな⼿抜き話でも、周囲も⼤⽬に⾒てくれました。学習量は低下しても、経験と⼈脈とで補う事が⼀旦は可能なのです。

その⼀⽅で能⼒と柔軟性、そして謙虚さは、⽬に⾒えて衰えました。私は瞑想を強制されるのが嫌いで、特にお寺を離れてからは10年以上、瞑想習慣が途切れていた時期がありました。ステレオタイプな発想は今も出て来てしまいますが、瞑想を再開してから、積極性や学習量は急回復しました。

60歳に近付くと、体⼒や柔軟性の衰えを実感しやすくなりますので、昔以上に瞑想の効果が分かりやすくなります。成功者が瞑想習慣を持つように⾒えるのは、成功者として世に知られる⼈たちは、⼤半が⾼齢者だからなのかもしれません。

ただ瞑想は最初が分かり難い⾯があるので、脳味噌が柔軟な若いうちに取組めば、中年以降に効果を実感するのでは、と思います。

 

【お釈迦様の学び】

お釈迦様は2⼈の仙⼈から学び、「無所有処」「⾮想⾮⾮想処」の境地に⾄ります。詳細は不明ですが、「何事にも執着しない⾃⼰を乗り越えた境涯」「意識すらも越えて⽣命の実感を捉える境涯」と理解すると、かなり⾼い境地に⾄ったようです。

 

「⾮想⾮⾮想処」は「有頂天(うちょうてん)」とも⾔われ、素晴らしい世界に違いはありませんが、お釈迦様が⽬指した世界ではなかったようです。瞑想に⾒切りを付けたお釈迦様は、苦⾏の道に⼊ります。

お釈迦様の修⾏期間の⼤半は「苦⾏」なのです。しかも⼤変厳しく、徹底した苦⾏だったようです。お釈迦様は最終的に「苦⾏は無意味だ」と⾔いますが、その後の仏教の中にも苦⾏の要素が⼊り込みます。

苦⾏が無意味な理由は語られておりませんが、「弦は張り過ぎても弛め過ぎてもダメ、中道が良い」といった逸話が伝わります。

お釈迦様の時代、インドは貨幣経済が発展し、当時の正統派であったバラモン教ヴェーダ学派に囚われない⾃由な思想が輩出します。その⼀つがお釈迦様の仏教ですが、他にも「六師外道」と呼ばれる新教派があったと仏典に記載されております。

⼀神教的なグローバル政治・経済体制が綻びを⾒せる中で量⼦論が広がり、お釈迦様の時代とベクトルは逆ですが、現代も⼤転換の時代だと思います。

「⼀つの教えを深く学ぶ」ことも⼤切ですが、このような時代は、他の⼿法を学ぶことで本質がより⾒えてくる、という⾯もあるのかもしれません。

私の考えは⽇本の仏教が中⼼ですが、今は敢えて、英国⼈から瞑想(呼吸法)を、⽶国在住の⽇本⼈からに苦⾏(ヨガ)を学んでおります。

お釈迦様の到達した境地はあまりに遠く、私は仰ぎ⾒るだけですが、今の私がお釈迦様に学べるのは、⽣涯に渡りチャレンジを続けた点だと考えております。六師外道の時代の思想は、仏教と、苦⾏中⼼のジャイナ教以外は、そのままの形では残っておりませんが、相互に様々な影響を与えたと思われます。

これからの諸⼦百家の時代に備え、仏教を多⽅⾯から考え抜いてみたいものです。

 

◎本レポートは、リアル曼荼羅プロジェクト・メルマガ40【2023年8⽉号】を大原浩の責任で編集したものです。

★沼⽥榮昭(リアル曼荼羅プロジェクト主宰)、 人間経済科学研究所フェロー

 

楽天・サイバーエージェントなど有⼒企業の上場を ⼿掛け、⼤和証券株式会社公開引受部勤務時代から 通算して、70社強の株式公開を実現、「伝説の株式 公開請負⼈(⽇経新聞記事より)」と⾔われる。上場会社⽣涯100社構想に向けて、スタートアップ企業の発掘・育成・投資に現在も邁進。

 

2000年〜2021 年まで21年間、サイバーエージェントの社外役員を務める。⽇本証券アナリスト協会検定会員(証券アナリスト)。

 

⾼野⼭真⾔宗⼤⽇寺(代々⽊⼋幡)で得度、紫雲⼭宝瑞院(仏教寺院)副住職(就任予定)、復旦⼤学(中国・上海)⽇本研究センター客員研究員、⼤阪⾳楽⼤学客員教授、中華⼈⺠共和国主治中医師(内科)。真⾔密教、統合占星術・星平会海、量⼦⼒学波動デバイスTime Waver等を取り⼊れた「株式公開レベル」の経営⽀援を実施。

 

★ファイブアイズ・ネットワークス株式会社

 〒150-0044 東京都渋⾕区円⼭町5-4

 フィールA渋⾕1402号 isao.numata@5is.co.jp

 

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