1970年までの「米国革新の世紀」と、これからの米国を語る。
「富」と「幸福」の問題は、今や世界を読み解くキーワード
【アメリカ経済 成長の終焉】
冒頭から講演会の告知で失礼をいたします。
https://ameblo.jp/toshino-ochan/entry-12867027587.html
「米国の相対的な衰退がもたらすビジネスチャンスの見つけ方」
講師: 沼田功 & 大原浩
日時: 2024年10月26日(土曜日) 午後2時〜5時
場所: 銀座ビジネスセンター
東京都中央区銀座6-6-1 銀座風月堂ビル5F
受講料:2万円
◎ Peatix(ピーティックス) https://peatix.com/event/4125220/view
申込連絡先 ginzaxseminar@gmail.com
沼田のパートでは、経営と経済の「今、ここ」を感じます!
経営を取り戻すヒントを掴んで頂けましたら幸いです。
大原浩先生は、日本の言論空間や経済の専門家にすら流布する「経済・経営常識のウ
ソ」に鋭く切り込み、社会に警笛を鳴らし続ける経済評論家です。
常識派から「極論」と受け取られるのは惜しいので、大原先生のプロデュースを私が
買って出たのが、親しく意見を交わす契機となりました。
常識の範囲での議論は、多少グタグタでも頭に入りやすいものですが、常識から外れ
た議論は、緻密に組み立てられていても、人々の頭には染み込みにくいものです。
人は聞きたい情報は聞きますが、聞きたくない情報は聞こえないのです。
大原先生は「人数を追わず、真実を追いましょう」「話題性を演出すると、同時に誤
解も演出してしまいかねません」とおっしゃり、私のプロデュース案は何一つ陽の目
を見ることはありませんでした。
数年前、まだ世界経済がデフレ一色の時代に、「これから凄いインフレになりそうで
すね!」とランチの席で大原先生と盛り上がりました。
「インフレ到来を指摘するだけでは『評論』に過ぎないので、インフレで儲ける具体
的なアイデアを織り込みましょう?」と提案したところ、「じゃあ沼田さん、一緒に
やりませんか?」と、素人の私ごときが、講演会をご一緒させて頂きました。
大原先生の言論は、YouTubeやマネー現代などで気軽に触れることができますし、結論
は明確で、議論の筋道も整理されております。
失礼なコメントかもしれませんが、それでも本質が伝わっていない気がするのです。
大原先生の議論が「聞こえない」と、日本も分断もますます進んでしまうでしょう。
今回の講演会の参考書籍をお聞きしたところ、大原先生から「アメリカ経済 成長の終焉」
を勧められました。日本語版では上・下巻合わせて千ページを超える大著、すでに1か月を経過しましたが、私はまだ読破できておりません。
読了した部分の大要は、1770年までの千年は世界的にも経済成長が見られない時代で、次の1770年から1870年までの100年の間に、アメリカではゆるやかに経済成長がはじまりました。
その後アメリカでは1970年までの「革新の世紀」を迎え、世界の経済史上に類を見ない成長を実現しますが、1970年から成長は鈍化し終焉していくと同書は指摘します。
1870年~1970年の「革新の世紀」を中心に緻密な分析が繰り広げられますが、細部の問題提起・分析にも魂が籠り、読みごたえは抜群です。
【三つの気づき】
荒っぽい議論ですが、私なりの気づきを3点、ご披露いたします。
1点目はGDPなどの経済統計の議論では、数字の「根っこ」を見極める力が、今後はより重要になると思いました。
たとえば上下水道の普及に伴う生活改善は、経済統計には直接反映しない技術革新です。
ただこれにより、家庭の重労働から主婦が解放されたことの重要性を同書は指摘します。
私は今回、「富」と「幸福」とを分けて日本経済や企業経営を論じるつもりでおります。
目先の金利やGDPを追いかけるだけでは、「経世済民」を見落とすリスクを感じております。
2点目は、目下も進行中の「情報通信技術の革新(所謂「IT革命」)」への評価です。
著者のゴードン教授は、IT革命は生産性を一時期若干は向上させたものの、「革新の世紀(1870~1970)」のレベルの生産性の向上を、米国経済にもたらすことはない、と結論づけております。
IT革命は現在も進行中であり、今後もイノベーションが続きますので、私の結論は留保したいと思います。
ただゴードン教授の緻密で実証的な議論を踏まえると、半導体産業に巨額な投資をしたり、生成AIに必死で追いすがることが、個々のお金儲けにはなっても、「経世済民」の観点での優先順位は如何なものなのか、私でなくても考え込んでしまうのではないでしょうか?
最後に、せいぜい300年の「経済(economics)の時代」、要するにキャピタリズム(資本主義)が経済成長を華々しく演出した時代が終わり、従来の「経世済民(Governing the nation and serving the people)の時代」に戻っていくのに伴う混乱を、私は予感しております。仏教にかぶれて理想論を語っている訳ではないつもりです。
常識が捉える「経済」とは、米国の「革新の世紀(1870~1970)」のモデルが世界を牽引した、例外的な事象に過ぎないのかもしれません。
そこまで大袈裟な話にしなくても、1970年頃に既にピークを付けた「条件」を今も常識と捉えることが、社会の分断の根幹にも見えて来ます。
◎本レポートは、<宝瑞院副住職 沼田 榮昭のマニアックなメルマガ 10 【2024年10月】>を大原浩の責任で編集したものです。
★沼⽥ 榮昭(宝瑞院副住職)
楽天・サイバーエージェントなど有⼒企業の上場を⼿掛け、「伝説の株式公開請負⼈(⽇経新聞記事より)」と⾔われる。2000年〜2021年まで21年間、サイバーエージェントの社外役員を務める。リカバリーインターナショナル株式会社(東証グロース:9214)社外取締役。
宝瑞院(茨城県神栖市・浄⼟宗系単⽴寺院)副住職。中華⼈⺠共和国主治中医師(内科)、⼤阪⾳楽⼤学客員教授、情報経営イノベーション専⾨職⼤学客員教授、復旦⼤学(中国・上海)⽇本研究センター客員研究員。CIF認定TimeWaverセラピスト®。RYT200(Registry ID: 417550)、ディープマインドフルネス®ヨガ認定講師。
ファイブアイズ・ネットワークス株式会社
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東京都渋⾕区円⼭町5-4 フィールA渋⾕1402号
isao.numata@5is.co.jp
研究調査等紹介
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