ポスト資本主義社会 ドラッカー名言集8

P.F.ドラッカーダイヤモンド社

 

1989年のベルリンの壁崩壊や、1991年のソ連崩壊などで、共産主義はすでに終わったことはだれの目にも明らかなのに、チャイナ、ロシア、北朝鮮などの共産主義国家がいまだに生き残っています。それだけではなく、先進資本主義国家でも共産主義をあがめている人々がまだ多数いることは本当に驚きです。

その理由について詳しくは、<経済は「予想外のつながり」で動く、ポール・オムロッド箸>などを読んでいただければと思います。ドラッカーが指摘するその理由の一つは、共産主義は宗教であり「地上の楽園」を説くので、一部の人々には抗しがたい魅力がある点です。宗教では、「水の上を歩いた」とか「宇宙まで行って戻ってきた」を始め「何でもあり」なので、絶対に実現できないにも関わらず「地上の楽園」を求める信者が絶えないというわけです。

ただ、資本主義も決して安泰ではありません。1930年頃の大恐慌時代の<激烈な資本主義>が今も続いていれば、「革命」などによって資本主義の命運も尽きていたかもしれません。

資本主義を発展させたのは、実は共産主義的思想なのです。英国の無料の医療をはじめとする手厚い社会福祉は有名ですが、日本のほぼ無料の医療費をはじめとして、ほとんどの先進資本主語国では、すべての共産主義国家を上回る厚い福祉を国民に提供しています。だからこそ、先進国で共産主義革命は起こらなかったのです。

それでは、その手厚い福祉のための資金はどこから手に入れたのか?それは過去50年ほどで50倍以上にもなった(製造業を中心とする)生産性の向上によって得た富の中からの分配であるというのがドラッカーの主張です。

しかし、大量の資本を必要とする製造業のために生まれた資本主義が、これからの<知識が生産財となる知識社会>において、変貌を遂げるのは明らかです。

ポスト資本主義社会では、知識の活用とサービス産業の生産性向上が不可欠です。製造業で起こったような目覚ましい生産性の向上(50年で50倍)がサービス産業でおこらなければ、現在の先進国で提供されているような福祉は維持できないでしょう。そして、サービス業の生産性向上において「知識」は必要不可欠なものです。

<文責:大原浩>

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