明日を支配するもの 21世紀のビジネスマネジメント

P.F.ドラッカー ダイヤモンド社

改めて読んでみて、この本が20年前にすでに執筆されていたことに大いに驚かされます。

ドラッカーは「未来は予言できない」と繰り返し指摘しますが、「すでに起こった未来」を見つけ出すことによって、20年前に現在の起こりうる状況を的確に指摘していますし、本書に書かれている、「これから起こるであろう」ことも多分正しいでしょう。

取り扱われている範囲が極めて広いので、すべてにコメントすることはできません。たとえば、「企業の経済活動」の社会における役割は、戦後一貫して低下しているという指摘です。

多種多様な企業の成長を目の当たりにしている人々にとっては信じがたいことかもしれませんが、ドラッカーが指摘するのは、戦後成長した分野は、<非営利の政府><自由業><医療><教育>であるということです。

日本に限らず、戦前は小学校か中学校までの教育がせいぜいであったのが、現在の先進国では、大学への進学率が5割近くなっています。それだけ莫大な社会的費用が教育に投入されているわけです。

医療については、戦前は貧しい人は病気になったら治療してもらえず、死んでいくのが当たり前だったのが、日本や英国ではほぼただ同然(一部自己負担はありますが・・・)で医療を受けることができ、米国では金さえあれば高度な医療を受けることができます。そして、いずれの国でも医療費は巨額に上ります。

自由業=フリーランスが増加しているのは改めて述べるまでないでしょう。

そして、最大の成長分野は政府ではないでしょうか?大恐慌直後の米国の富裕層の最高税率はなんと4%(桁の間違いではありません)でした。今では、利益ではなく売り上げにかかり、どのような貧乏人でも払わなければならない消費税でさえ、日本で8%、主要先進国では20%程度です。

多分これ以上の政府の肥大化は、許容範囲を超えるでしょうから、どのように民営化し、正常な形に戻していくのかが、これからの重要なテーマとなるでしょう。

<文責:大原浩>

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