超ヤバい経済学

スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー東洋経済新報社

前作も充実した内容でしたが、本作も前作同様あるいはそれ以上に充実した内容です。

豊富な学術データで「あっ」という結論に導く手腕は健在です。

と、言うよりも、普段我々がメディアなどのプロパガンダに毒されて、どれほど嘘やでたらめを信じ込まされているかを、本書を読むと痛感します。

「真実」は実のところ、受け入れるのがむずかしいものです。

人類最古の職業においてポン引きがどれほど役立つか実証されていますが、アイドルを抱える芸能プロダクションも同じ役割と言えるでしょう。ただ、芸能プロダクションのピンハネ率はかなりのもののようですが・・・

サルに「お金」を使わせる実験で、サルが最初に行った「革新」は強盗、そして餌以外のもので最初に買ったのは「メス」ですから、サルと人間の違いを見つけるのはますます難しいくなりそうです・・・

「地球温暖化教」については、地球は温暖化しつつあるという立場をとっていますが、「地球温暖化を騒ぎ立てる人々が多くの富を得ている」ことを、「地球温暖化の阻止は極めて低コストで簡単にできる」ことを実証することで、裏側から証明しています。

<文責:大原浩>

参考書籍等紹介

『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録』、映画ディア・ファミリー原作

    清武英利著、文春文庫   事実を基にした「ノンフィクション」である。 語り口は淡々としている。取り立てて激しい感情表現があるわけでは無い。 だが、登場人物たちの心の奥底から湧き上がってくる感情が、圧倒的な力で迫っ .....

「黄金の馬」 パナマ地峡鉄道 ー大西洋と太平洋を結んだ男たちの物語ー

      ファン=ダヴィ・モルガン著、中川 普訳、三冬社 本作品は、子供の頃夢中になって読んだロバート・L. スティーヴンソンの「宝島」を思い起こさせるところがある。子供向けの簡略版であっ .....

確率とデタラメの世界 偶然の数学はどのように進化したか

デボラ・J・ベネット白揚社

 「杞憂」という言葉があります。  中国古代の杞の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配したという、「列子」天瑞の故事から生まれました。心配する必要のないことをあれこれ心配することを意味しますが、「天が崩れ落ちてくる確率」 .....

たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する

レナード・ムロディナウ ダイヤモンド社

 「偶然」にまつわるエピソードを、世の中の幅広い範囲にわたって歴史的に深く洞察した良書です。特に歴史的なエピソードには興味深いものが多く、カルダーノの半生は注目されます。  そもそも、「確率論」や「統計学」は、古代ギリシ .....