IoTを支える技術(あらゆるモノをつなぐ半導体の仕組み)
菊池正典サイエンス・アイ新書
AIやIoTなどと色々騒がれますが、AIを人間の脳に例えるとすれば、「もの」につながるセンサー部分は、人間の感覚器官に相当します。
そもそも、現在巷でAIと呼ばれているものは基本的に「エキスパートシステム」です。人間の脳(本来のAI)は、晩御飯のおかずのメニューを考案することも、ネクタイの結び方を覚えることも、相対性理論を考察することもできる多機能なシステムです。それに対してエキスパートシステムは、囲碁や将棋あるいはコールセンターの受け答えなどそれぞれに特化した機能しかありません。
しかしAI であろうと、エキスパートシステムであろうと、人間の感覚器官にあたるセンサーが重要な役割を果たすのは間違いありません。
AIやエキスパートシステムの開発競争において日本企業がリードしているとはとても言えない状況ですが、センサーについては全く状況が違います。高精度のセンサーに関する技術において日本企業がトップクラスであることは間違いありません。
そこで、「センサー」に関する本を探していたところ見つけたのが本書です。専門用語だけではなく、アルファベットの3文字熟語、4文字熟語が並んだ本書を読みこなすのは、私のような素人にきついのは事実です。
しかし、読み込んで見ると、書いてある内容はとてもシンプルでわかりやすいです。しかも非常に良いタイミングで図解が目に入る構成であることも理解を助けます。
特に副題にもある半導体についての説明は秀逸です。長年ぼんやりとしか理解できなかった半導体というものが、初めてくっきりと頭の中でイメージできました。
一つだけ難を言えば、判型の問題もあるのでしょうが、細かな字が多いことです。私のような年寄りにはちょっと辛いです・・・
<文責:大原浩>
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