医療崩壊したら悪いのは医療界、日本のコロナ被害は世界最低水準

日本は、世界で最もコロナ陽性者、重症者、死者も少ない部類なのに、「医療崩壊する」と大騒ぎである。そうだとしたら、その原因は日本の医者が世界で一番ダメだから以外にありえないであろう。(「日本人がコロナ戦争の勝者となる条件」:ワニブックス )

日本医師会の会長は、「師走が正念場」だとか言っているが、庶民は日本経済を崩壊させない、社会インフラを維持する、生きていくための生活維持に必死なのである。それほど大変なら、早速、医師会の会員に、今年は年末年始の休みをやめて診察をするように指令を出すのが先だろう。

大阪府で看護師さんが足りないから医療崩壊だと吉村知事が大騒ぎだが、なぜ、コロナ関連部門限定で臨時ボーナスを出すなどして集めないのか?

現場を離れている人を動員するといっても、コロナ治療は難しいから現役でない人は難しいというなら、病院内のほかの医療機関などにいる経験者に回ってもらって、その空いた穴を経験が浅いとか、しばらく休んでいたとかいう人に玉突き人事でやってもらえばいいではないか。

臨時ボーナスで釣ると賃金体系が乱れるから嫌?自分が使い慣れている看護師さんのほうがやりやすいので、コロナにはまわしたくない?等々いろいろ考えられるが、つまるところは、大多数の医師にとって、コロナの非常事態なんて自分と関係ないから、面倒なことに巻き込まれたくないだけではないのか?

看護師さんが急に辞めたり休んだりした時に少ない体制で仕事するとか、臨時に応援を頼むとかいう、これまでにもあったであろうケースとどこが違うのか?さっぱり理解できない。

医師でマスコミでも活躍されている上昌弘氏(元東京大学医科学研究所特任教授。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長)が、

「主要国のコロナ感染者数と病床数・医師数を比較しました。なぜ、感染者数が欧米の一割以下で、病床数は一番多い日本で、コロナで医療崩壊するのでしょう?やり方が悪いのでしょう。これこそ、いま議論すべきポイントです」

ということを書かれていた。

そこで使われていた表にある人口千人あたりの数字を比較すると、感染数では日本は1.14で、フランス(33.84)やイギリス(23.65)の20~30分の1、死者数は50分の1以下であるのに対して、病床数は日本は13.05であり、これはアメリカ(2.77)やイギリス(2.54)など欧米諸国の3~4倍である。医師数は日本の方が少し少ないが、これは、医師会などの圧力で医学部の定員を増やすのが難しいからで、国の怠惰とは云えない。

コロナ騒動を見ていて思うのは、医療界全体としての責任感の希薄さである。個別の医師や部門は、最高度かどうかは別として良心的にやってるつもりなのかもしれないが、医療界全体としてのパフォーマンス向上に後ろ向きすぎる。

アビガンの認可やPCR検査の拡大でも、安倍前首相がいくら強く指示しても厚労省の医官も医療界も梃子でも動かずサボった。専門家は、緊急だからといって甘くしたら今後に悪影響が出る、ウイルス検査の部門は今は新規参入してもいいかもしれないが、コロナが終息したとき過当競争になるということで妨害する。

コロナの第一波が終わったときに、第二波の襲来に備えて体制を取らなかったのはなぜか。人工呼吸器の訓練くらいなぜしなかったといったら、「何言ってるか?目の前の患者を放っておいて研修などできるのか?」と開き直るバカな医者がいる。忙しいから訓練なんぞできないといったら社会は成り立たない。意識が低いだけだ。

医療界を批判したら、「働いている医師達を結果的にdisるのはおやめください。基本システムが悪いことは認めますが、現場で働いている医師達の気持ちをお願いですから萎えさせないでください」いう医師がいるが、医療界を批判することをなんとなく遠慮する風潮が、この国の医療をどれだけ悪くしてきたことか。

私はかつて公務員で医者などよりはるかに過酷な条件で安月給で働いていたが、官僚は諸悪の根源のように批判されていた。しかし、それで国のために働く気が萎えるなんて甘っちょろいことは言わなかった。

阪神淡路大震災のときは、スタッフのかなりの部分がそちらに吸い上げられ、震災対策に従事したり、残ったわずかなスタッフでこれまでの仕事をしたりした。なぜ、医療崩壊だとかいいながら、お医者さんたちは志願してもそちらに駆けつけようとしないのか?海外の医師は命がけでコロナと戦い死んでいっている人も多いのと、あまりにも落差は大きい。

いまコロナ以外の現場では、患者数の減少で経営難だという。それなら、医師会などでもコロナの現場で働いてもらって収入源の足しにする差配こそするべきだ。

PCR検査の遅れについていえば、こういうときだから、検査機関の新規参入を促し、また、海外のように看護師さんだけで検査したり、薬局でもできるようにすればいいのだ。また、少々、検査の方法も精度が下がることも容認すべきだ。手が足らなかったら医師独占業務を、大幅に削減すべきだ。ところが、いずれもしないから、件数が拡大しない。

ワクチン接種など外国では薬局でやったり看護師さんだけでやってるから、コロナについては、これを機に解禁すればいい。

リモート診療が拡大しないのは、弁護士業務でいえば、アギーレ法律相談所みたいなものが出てくるのを恐れているからだといわれる。だから、ようやく極めて限定的に拡大しただけだ。

あんまり医師に過酷な要求をすると、医師のなり手が減るという人もいるが、それは好ましいことだ。いまの日本の不幸のかなりの部分は、理工系の優秀な人材が医学部に集中して必要分野が手薄なことから来ている。一人でも医学部進学をやめてくれたら世のため人のためになる。

医者は美味しいなどという実態はないという医者も多いが、それなら、どうして、医師は子どもを医学部に行かせたがるのか。開業医は事業継承だわかるが勤務医もしかりである。官僚で自分の子どもを官僚にしたいなどというのはほとんどいないのと好対照なのだ。そういえば、文部科学省高官で自分の子を医学部にいれるために依頼して捕まった人もいたのは、状況を象徴している。

八幡和夫
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授
滋賀県大津市出身。東京大学法学部を経て1975年通商産業省入省。入省後官費留学生としてフランス国立行政学院(ENA)留学。通産省大臣官房法令審査委員、通商政策局北西アジア課長、官房情報管理課長などを歴任し、1997年退官。2004年より徳島文理大学大学院教授。著書に『歴代総理の通信簿』(PHP文庫)『地方維新vs.土着権力 〈47都道府県〉政治地図』(文春新書)『吉田松陰名言集 思えば得るあり学べば為すあり』(宝島SUGOI文庫)など多数

本レポートは
アゴラ(http://agora-web.jp/)から転載いたしました。

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