繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史(上)

マット・リドレー 早川書房

人類10万年の歴史を「交換」の観点から論じた本です。 本書によれば、人間以外の動物が物々交換するのはとても珍しいことです。例えば、家族の間での分かち合いや、食べ物と交換の交尾(売春)は昆虫も含めた多くの生物で見られます。 .....

イマココ 渡り鳥からグーグル・アースまで 空間認知の科学

コリン・エラード早川書房

「空間認知」について、生物や有史以前の人間、さらにはサイバースペースまで幅広く論じた本です。前半から中盤にかけての学術的内容は非常に興味深い内容ですが、終盤にかけての現代社規との関連について論じた部分は極端につまらなくな .....

ファスト&スロー あなたの意志はどのように決まるのか?(下)

ダニエル・カーネマン早川書房

下巻においてもカーネマンの鋭い洞察と、非常にわかりやすい解説に変化はありません。 上巻は、システム1とシステム2による人間の脳活動の分析が中心でしたが、下巻は「フレーミング」、「利用可能性バイアス」など、人間の判断の誤り .....

ファスト&スロー あなたの意志はどのように決まるのか?(上)

ダニエル・カーネマン 早川書房

心理学者でありながらノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが、一般向けに行動経済学の基礎を解説した非常に読みやすい本です。表題の通り「システム1=ファスト=直感」と「システム2=スロー=思考」が中心となって展開し .....

不合理だからすべてがうまくいく

ダン・アリエリー早川書房

「予想通りに不合理」と同様、「著者の壮絶な体験」も含めた身近な出来事を中心に取り上げつつ、「行動経済学」のエッセンスを伝えてくれる本です。 学問の本というよりは「自己啓発」的要素を含めた本ともいえます。 例えば、<復讐> .....

ずる 嘘とごまかしの行動経済学

ダン・アリエリー 早川書房

まず最初に申し上げます。 私は「これまで嘘をついたことが無い」と言い切るほどの嘘つきではありません。 私は、善人と悪人の中間で、たぶん悪人に近い方の人間だと思います。 さて、本書は人間の嘘や欺瞞に関する研究にあふれていて .....

進化は万能である 人類・テクノロジー・宇宙の未来

マット・リドレー 早川書房

  まず、読者にとって意外かもしれないのは、ダーウィン(1809年生まれ)はニュートン(1642年生まれ:ユリウス暦)よりも150年以上も後の時代の人間であることです。 そのため、万有引力の法則を否定する(アイ .....

「ドラッカー18の教え」 第10回  人間には人物を見分ける能力など備わっていない

富を生み出すことができるのは人間だけである 「富を生み出すことができるのは人間だけである」。まったくその通りです。どれほど優れた機械やソフトウェア―でも、まず「人間が意志を持って機械やソフトウェアアーをこの世に誕生させな .....

ダニエル・カーネマン心理と経済を語る

ダニエル・カーネマン 楽工社

本書が2011年の3月に発刊されたときには、著者自身の手による一般向け書籍である「ファスト&スロー」の翻訳本がまだ出版されていなかったはずなので、ノーベル賞受賞講演や共同論文をまとめた本書にも一定の価値があったと思います .....

ブロックチェーン入門

森川夢祐斗 KKベストセラーズ

1990年代後半、インターネット・ITバブル華やかりしころの熱狂をご記憶の方も多いと思います。当時は「インターネット・ITと名前がつくベンチャーなら「A4の企画書1枚で数億円が1週間で集まる」などといわれましたが、実際に .....

仮想通貨とブロックチェーン

木ノ内敏久日本経済出版社

ブロックチェーンが革新的技術であることは間違いありません。しかし、その技術が真っ先に使用され、実用化されたビットコインをはじめとする仮想通貨の将来については全く未知数です。 なぜなら通貨の本質(詳しくは拙著「銀行の終焉」 .....

「盲目の時計職人」自然淘汰は偶然か?

リチャード・ドーキンス早川書房

「利己的な遺伝子」の発刊以来、世界の思想、哲学、社会等に幅広く影響を与えてきた著者が、生物学者としてよって立つ「ダーウィン主義(理論)」の正しさを、「創造説」を含むあまたの偽理論を快刀乱麻のように鮮やかに切って捨てながら .....

道徳感情論(第4部〜7部)

アダム・スミス日経BP社

本書を読了して感じたのは、あくまでアダム・スミスは、ギリシャのアリストテレスやエピクロス、ローマのキケロ等に連なる(道徳)哲学者であるということです。 彼は本書の中で、共感=(社会への)同調の重要性を説いています。日本的 .....

道徳感情論(第1部〜3部)

アダム・スミス日経BP社

翻訳ベースで700ページを超える大著なので、2回に分けてコメントを書きます。 ただ、大著ですが、非常に現代的なこなれた翻訳であるため、読むのに大きなストレスは感じませんでした。むしろスラスラ読めた印象です。 現在では、ア .....

当研究所の活動開始日

当研究所のHPは昨日立ち上がりましたが、本格的な活動は本年4月1日以降に行う予定です。 それまで、当HPは、これまでの研究成果をご覧いただいたり、設立の趣旨などをご理解いただくために運用いたします、あらかじめご了承くださ .....

人間がサルやコンピュータと違うホントの理由 脳・意識・知能の正体に科学が迫る

ジェームス・トレフィル日本経済新聞社

私は「人間は神とサルの間に存在する」とよく言いますが、本書においては「人間はサルとコンピュータの間に存在するのか?」というのが終始一貫したテーマです。 もちろん、どちらの場合でも「二つの間のどのあたりに位置するのか?」と .....

ドーキンス博士が教える「世界の秘密」

リチャード・ドーキンス早川書房

「生物は遺伝子の乗り物である」という視点から40年以上前に「利己的な遺伝子」という著書を著し、世界の生物学のみならず思想界・哲学界などにも衝撃を与えたリチャード・ドーキンスが「科学的視点」から<世界・宇宙>について解説し .....

ブロックチェーンの未来 金融・産業・社会はどう変わるのか

翁百合他編著日本経済新聞出版社

多くの分野にわたる多数の執筆者が小論文形式のコメントを執筆し、それを編集したスタイルです。 少しまとまりが無い感じがしますが、ブロックチェーンの未来とその産業・社会に与える影響について、一本筋道の通った論述を行うのは(少 .....

国富論 (下) 国の豊かさの本質と原因についての研究

アダム・スミス日本経済新聞出版社

「経済学」の本格的始動  物理学と呼ぶべきものがギリシャ時代・ローマ時代に無かったわけではありません。しかし、現代物理学の基礎を構築しその後の発展をもたらしたのがサー・アイザック・ニュートンであることに異論はないでしょう .....

人類は絶滅を逃れられるのか 知の最前線が解き明かす「明日の世界」

スティーヴン・ビンカー、マルコム・グラッドウェル、マット・リドレー他ダイヤモンド社

  「日本人はディベートが下手だ」と、非難がましく言うマスメディアを中心とした人々がいますが、ディベートが得意だからと言って自慢するようなことではありません。 例えて言えば、ディベートは商品の包み紙、すなわち「 .....